多摩稲門会 「第63回文化フォーラム・新年賀詞交歓会」
2017年02月05日
平成29年1月28日(土)14時から18時、多摩市永山の多摩永山情報教育センター内にある展望サロン「美膳」で「多摩稲門会『第63回文化フォーラム・新年賀詞交歓会』」が開催された。
第63回文化フォーラムは、鎌倉稲門会の会員である坂(ばん)麗(れい)水(すい)氏の薩摩琵琶の演奏と多摩稲門会幹事浪久圭司氏の朗読とのコラボ演奏会であった。琵琶の音色を初めて生で聴く人がほとんどで、開演前から“未知との遭遇”のような雰囲気が感じられた。
長張紘一幹事長の開会の辞、依田敬一会長の年始挨拶に続き、尾ノ井光昭文化フォーラム担当副会長が本日の文化フォーラムの内容と出演者のプロフィールを紹介した。拍手の中で、薩摩琵琶奏者坂麗水氏が登場した。
最初の演目の『扇の的』は平家物語に出てくる那須与一の話だが、その背景の解説のあと薩摩琵琶演奏が始まった。その演奏と謡いは時には激しく時には心に染み入り、聴衆はじっと聴き入った。約20分の演奏は聴衆を別世界に引き込んでいた。圧巻の演奏であった。
次は浪久圭司氏の朗読『菊の典侍』。司馬遼太郎作「花妖譚」第7話の物語で、朗々とした語りに聴衆が同化した。坂氏の琵琶演奏が途中途中に入り、朗読全体を一層重厚なものにした。
最後は坂氏の琵琶演奏に戻り、『四条畷』という「太平記」の時代の話を、演奏と謡いで集まった70名超の観衆に感銘と余韻を与えた。ちょうど除夜の鐘がゴーンと打ち鳴らされてから余韻がしばらく残るように、演奏の最後に“ジャラーン”と、撥(ばち)で弦を弾き終わった後の静寂、そしてある種の余韻が耳と心に残響のように残った感動の演奏会だった。その後坂氏との質疑応答があった。その中で、坂氏は昨年もフランスで薩摩琵琶の演奏会を開いたのだが、坂氏によると、ヨーロッパでは近年テロなどで民衆の心がひどくすさんできているので、“心が癒される”日本古来の琵琶演奏が見直されているということであった。日本の禅も海外で普及されており、日本的な心の精神文化が世界各国で受け入れられているのだろう。尾ノ井光昭副会長の閉会の辞で、第63回文化フォーラムを終了した。
引き続き第2部の新年賀詞交歓会が、尾ノ井光昭副会長の開会の辞、藤井國男副会長の乾杯音頭で始まり、益田幸兒幹事の司会・進行で進められた。来賓の鎌倉稲門会稲田明子副会長、多摩三田会澤雄二氏のご祝辞のあと、なごやかな歓談の時間となった。菊池恵子会員から坂麗水氏に花束が贈呈された。新春の邦楽の催しにふさわしく着物姿の女性もいて華やかな懇親会となった。酒を酌み交わし、広く親交を深め、和気あいあいとした楽しい新年会となった。会場の展望サロン「美膳」から見る多摩の夕景は美しく、参加者もしばし見とれていた。たぶん夕景を見ながら薩摩琵琶が奏でた諸行無常の余韻にひたっていたのだろう。稲垣友三副幹事長の閉会の挨拶、野宇進幹事の力強いエールの発声のあと、参加者が全員で肩を組んで校歌「都の西北」を斉唱し、閉宴となった。
文化フォーラム及び新年賀詞交歓会参加者(敬称略):
浅井隆夫 新井正子 新井真澄 井上一良 稲垣友三 遠藤千尋 尾ノ井光昭 加来健一郎 河合一郎 川面忠男 川俣あけみ 神田康子 菊池恵子 菊沢光江 小林 勲 子幡嘉之 櫻井和子 佐藤達雄 白井昭男 田島重光 近沢市子 辻野多都子 寺沢 史 中川邦雄 長張紘一 浪久圭司 西村幸一 西村 弘 野宇 進 平松和己 福田 宏 福田かほる 藤井國男 星野英仁 益田幸兒 又木淳一 松本靖子 山中康廣 湯浅芳衞 吉川啓次郎 吉田 浩 吉田富康 依田敬一 (以上43名)その他お客様多数