2011.01(第119回) 払沢ノ滝・浅間嶺
今年最初の山歩きは払沢ノ滝に寄った後、浅間嶺のハイキングである。特に厳冬の中で凍りついた払沢ノ滝の姿は絶景と云われている。都民であれば一度は訪れてみたいスポットの一つである。一週間ほど前から朝晩の冷え込みは寝床を離れるのが躊躇するほど厳しくなっている。
今日のメンバーは中川さん・橋本さん・金子さん・長張の4名となった。9時40分武蔵五日市駅を降りた。バスの便はあまり良くない。タクシーに滝までの料金をただすと2500円と交渉の余地はなく、一同460円のバス行きで決定。59分発の払沢ノ滝入口行きのバスに乗り込んだ。バスはあまり込んではいなかった。大半のハイカーは途中で降り、終点まで行く者は少数であった。
今回のコースは前回2004年に湯浅さんと山岸さん2名で行なわれていることが記念文集に載っていた。その時は今回の逆のコースとなっている。
滝入口のバス停の前には豆腐のちとせ屋の店が構えている。その店の裏の道に入り滝へと向う。交通整理員の話では、全面凍結とはいかないが半分は凍っていると教えてくれた。
15分ほど進むと凍結した真っ白な滝が見えてきた。東京の滝の冬には凍ってしまう見事な景色である。滝の両端は凍結し中央の奥に水が落ちている。滝つぼも水の落ちる所以外は凍結している。体は歩いてきたせいかあまり寒さを感じさせない。暫く滝を鑑賞し記念写真を撮った後浅間嶺へのコースへ引き返した。
テレビでも放映されていたが、元郵便局の建物を、そのまま内装を土産屋に改装利用しているところが紹介されていた。そこの親爺さんが、遥か先の天狗滝が見えると双眼鏡をセットして見せてくれた。私の肉眼では見えない白い筋が、はっきり流としてとらえていた。大岳山中腹に落ちる剥き出しの岩を滑る滝である。
時坂峠までの道は車道を主体に、脇の山道などを繰り返し単調な登り路を進む。峠の茶屋には12時に着いた。見晴の良い場所にベンチが置かれ。十数人のハイカーが食事をしている。
食事の場を求めなおも進むことにした。休憩所の峠の茶屋姉妹店みちこは無人で閉まっていた。前庭にある水車は凍り付いて廻っていない。傍らには植栽されたかシモバシラの氷の華が数箇所点在していた。ここも食事には適してはいなかった。更に進む。
尾根筋の起伏の少ない落葉が積もる場所で一同めいめい食事をとる。12時半である。風は予報ほど強くなく、さほど寒さを感じさせない。落葉樹の梢の向こう側に、大岳山・御前山・三頭山の奥多摩三山が目の前に広がっているが、暖かい季節になれば一面の緑で覆われる。
御前山の左奥には鷹ノ巣山も眺められる。
食事を済ませ先を急ぐ。幾人ものパーティーに出合うが、逆方向に向うルートの方が多いようだ。1時少し過ぎに浅間嶺に着いた。山頂というよりは、平坦な広い尾根の一部で何処がピークなのかはっきりしない。嶺とはこのような場所を云うらしい。カヤトの枯草が一面に広がり見通しの良い場所であった。富士の裾の一部が雲の間から見えていた。
後は1時間10分ほどで人里のバス停に着く。人里と書いてへんぼりと読む。一昔前には東京の秘境と云われた場所の一つである。何でこんな読みになるのか調べてみたら古墳時代に遡るようだ。「フンボル」が訛ったものではないかとの説がある。フンはモンゴル語の人間を意味し、ボルは新羅語の集落を意味する。この地域に、大陸からの渡来人系の集団が近畿地方から移住したと考えられている。人里バス停の裏には枝垂れ桜の冬芽が春を待っていた。
1時間も待ったバスは座ることができず、つり革に必死に掴りながら40分で武蔵五日市駅に着いた。立川駅で下車し「味工房」で新年の祝杯を挙げることができた。中川さんは90まで山登りを頑張りたいと。取敢えずは80までの目標にしたらと皆に諭されている。益々お元気で我々も見習いたい。 長張 記