第107回俳句同好会
サークル「俳句同好会」の11月例会が18日午後、多摩市の関戸公民館和室で開かれ、メンバー7人のうち6人が出席した。残り1人もあらかじめメールで投句と選句を行っており、いつもの通りの句会となった。発足してから第107回目だ。
11月の例会は暦の上では季節が冬だが、晩秋が実際の季節感だ。投句の季語は秋、あるいは初冬のそれとまちまちだった。その中で〈小春日〉を季語にした句が少なくなかった。
当日の最高点句は〈一つづつ重荷下して菊日和〉だが、これは選句者が作者の心境に共感したうえ〈菊日和〉の季語が効いたためだ。夫が可愛がったペット、それは金魚に至るまで世話することが残されたものの役割だ。そうしたことから解放された気持ちが〈菊日和〉と合っている。そう感じられて選んだのだ。
〈冬菊やひとつは書ける私小説〉は高得点句となったが、〈冬菊〉という季語が働いている。冬菊の後にはもうその年の花は終わり、それが人生を振り返る心境に合ったているというわけだ。
・
選句結果は以下の通り。カッコ内は選句者名、特選は◎で表記。
・
一つづつ重荷下して菊日和―――辻野多都子(松井◎、宮地◎、川俣、又木)
ぽつくりの磴一歩づつ七五三―――松井秋尚(川面◎、又木◎、長張)
冬菊やひとつは書ける私小説―――宮地麗子(辻野◎、川面、川俣、又木、松井)
朝の日を剥がし散り初む大銀杏―――松井秋尚(長張◎、宮地)
ファックスの間遠き流れ冬隣―――又木淳一(川俣◎、松井)
丹後半島伊根地区
柿と烏賊並べ干したる舟屋かな―――川俣あけみ(辻野、長張、宮地)
秋終る墓域に錆びしポンプ井戸―――川面忠男(長張、又木)
鳴き砂を鳴かせ笑はせ浜小春―――川俣あけみ(川面、辻野)
枯葉掃くいのち終へたる軽さかな―――宮地麗子(辻野、又木)
エレベータのカメラに映る木の葉髪―――長張紘一(辻野、松井)
鎧はねばならぬことなし朴落葉―――川俣あけみ(川面、宮地)
立冬や湾に五隻の護衛艦―――川俣あけみ(川面)
友呼べば木の実降りくる二つ三つ―――辻野多都子(宮地)
小春日や翁の挑む逆上がり―――川面忠男(長張)
小春日や父に背きしこと数多―――辻野多都子(松井)
音深き方へ踏み込む落葉径―――松井秋尚(川俣)
小春日やしばしプーチン離れせむ―――又木淳一(川俣)
(文責・川面)