第113回俳句同好会
多摩稲門会のサークル「俳句同好会」の5月例会が19日午後、多摩市の関戸公民館和室で開かれた。活動を開始して以来10年目、第113回となる。当日はメンバー7人のうち6人が出席、欠席した1人も事前に投句と選句を世話人に伝えていた。
投句、選句とも5句ずつだが、投句された35句のうち半数以上の19句が選句された。晩春から初夏にかけた季節の変化を詠みこんだ句が多かった。一例が〈初夏や下駄突つかけて供花を剪る〉という句。それまでは靴下を穿いていたが、初夏になって素足で下駄をつっかけたと如実に生活の変化を詠んだ。〈リビングへ庭の気を呼ぶ五月来ぬ〉も同様だ。
薫風、若葉風など五月の風を季語に詠んだ句が選ばれた。〈句集読む野外のカフェや風薫る〉は類句がありそうとか景が平凡などと評された。それでも選句されたのは〈風薫る〉という季語の力が効いているからだ。
当日は投句が選句されたものの合評で添削され、さらに佳くなった句も少なくなかった。句座が開かれなければできないことだ。
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選句結果は以下の通り。カッコ内は選句者名(特選は◎で表記)。
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大輪の薔薇散る重荷降ろすごと―――宮地麗子(川面◎、松井◎、長張、辻野)
妬心てふ我が影法師薄暑光―――川俣あけみ(辻野◎、松井、宮地)
初夏や下駄突つかけて供花を剪る―――川俣あけみ(又木◎、松井、川面)
打ち靡きなびき茅花の蓬けたる―――松井秋尚(長張◎、川俣)
思春期の重たき日記明易し―――川俣あけみ(宮地◎、又木)
リビングへ庭の気を呼ぶ五月来ぬ―――川俣あけみ(川面、辻野、松井)
句集読む野外のカフェや風薫る―――川面忠男(川俣、松井、宮地)
家移りや膝に揺れゐる金魚鉢―――川俣あけみ(辻野、又木、宮地)
新緑や枝の古傷隠しをり―――川面忠男(長張、宮地)
板前の襟足清(すが)し春野菜 ―――辻野多都子(川面)
夏来る空突き上ぐるクレーン車―――宮地麗子(又木)
葉を巻きて離るる期待つ落し文―――長張紘一(辻野)
涼やかに姿正しき花あやめ―――松井秋尚(長張)
踏青や行きつ戻りつ山鴉―――辻野多都子(長張)
やはらかく影をほどきて萩若葉―――松井秋尚(川俣)
エルガーの愛の挨拶五月来ぬ―――又木淳一(川俣)
樟若葉祈祷の雅楽響きけり―――松井秋尚(又木)
雫まだ落ちて来さうな夕立晴―――宮地麗子(川面)
幾重にも盛り上がる樹々若葉風―――長張紘一(川俣)
(文責・川面)