第116回俳句同好会
多摩稲門会のサークル「俳句同好会」の8月例会が18日午後、多摩市鶴牧 の唐木田菖蒲館会議室で開かれた。同会は多摩市の永山公民館、関戸公民館、京王クラブで句会を実施してきたが、8月はいずれも確保できず初めて唐木田菖蒲館を利用した。月に一度の句会をこれまで休まず続けられたのは会場が確保できたからだ。会場は世話人が予約するが、その労を多としたい。
当日はメンバー7人のうち6人が出席したが、欠席した1人もメールで投句と選句を伝えた。また稲門会の会員の1人が見学、次回から参加の予定だ。
選句では〈牛の皮干す草原やはたた神〉が第一席となった。モンゴルと前置きがあるのでモンゴルを旅しての句とわかる。雄大な景が伝わるが、現地に行って詠んだ句には強さがあるという評だった。はたた神は、雷のことで夏の季語だ。
次席の〈かなかなや螺子を巻きつつ予後の旅〉はほぼ全員が選んだが、病後に旅に出かけて頑張った気持ちと季語の「かなかな」が合っていると評された。
・
選句結果は以下の通り。カッコ内は選句者名。特選は◎で表記。
・
モンゴル
牛の皮干す草原やはたた神―――辻野多都子(川面◎、川俣◎、宮地)
かなかなや螺子を巻きつつ予後の旅―――川俣あけみ(長張◎、辻野、又木、松井、宮地)
身辺りの影細りゆく溽暑かな―――辻野多都子(宮地◎、川俣)
白光や人影絶えて揚羽蝶―――川面忠男(松井◎、川俣)
迎火や黙して空を見上ぐる子―――川俣あけみ(又木◎、川面)
針穴をすと通る糸秋立ちぬ―――川俣あけみ(川面、辻野、又木、宮地)
背泳を止めて一碧ほしいまま―――又木淳一(辻野、長張、松井)
テニスコート
原爆忌試合を過る大鴉―――川俣あけみ(又木、宮地)
千切れ雲受け繚乱のさるすべり―――辻野多都子(長張、松井)
新しき匂ひ袋や旅鞄―――宮地麗子(川面、辻野)
造り上げし木橋に一つ落し文―――長張紘一(川面)
買つて出る土用太郎の水仕かな―――又木淳一(川俣)
切り株となりたる大樹秋隣―――宮地麗子(長張)
気に掛かる金の相場や西鶴忌―――川俣あけみ(辻野)
切り返す力大きく桐一葉―――松井秋尚(長張)
酌みし酒顔には出でず生身魂―――松井秋尚(又木)
独りには広き草原秋の蝶--- 宮地麗子(松井)
卓上に供花の桔梗の乗るサロン---川面忠男(川俣)
(文責・川面)