「歴史に遊ぶ会」の「みちのくの旅」
多摩稲門会のサークル「歴史に遊ぶ会」は、好天に恵まれた11月8日から9日にかけて宮城県の仙台、松島、塩釜、多賀城の史跡を探訪した。参加者は稲門会会長の尾ノ井光昭さんをはじめ川俣あけみさん、菊沢光江さん、宮地麗子さん、それに世話人の川面忠男の5人。そのうち3人は「俳句同好会」のメンバーであり、訪れた先で俳句を詠む吟行の旅ともなった。
仙台駅に到着後、直ちに青葉城こと仙台城址へ。眼下に広瀬川、川向うにビル街が広がり、左に目を転じると七ツ森と呼ばれる山並みを遠望する。城址は青葉山にあり、背後は竜の口渓谷という数十メートルの断崖が続く要害だ。藩祖の伊達政宗が居城とした広場に政宗の騎馬像が立っている。観光客には写真の撮影スポットだ。青葉城資料展示館があり、政宗の書状、政宗が着用した具足などが常設展示されている。
政宗の霊屋のある経ヶ峯へ。霊屋は瑞鳳殿と呼ばれる。桃山文化の遺風を伝える廟建築で戦前は国宝だったが、戦災で焼失、後に再建された。さらに政宗が造営した大崎八幡宮へ。安土桃山時代の現存最古の権現造りとして社殿が国宝になっている。
翌日の9日は仙石線で松島海岸駅へ。政宗の孫、光宗の菩提寺・円通院へ寄った。霊廟の三慧殿は重要文化財、厨子に描かれているバラには由緒がある。政宗の正使としてスペイン、ローマを訪れた支倉常長が持ち帰ったものだ。そういうわけでバラの庭があり、円通院は「バラ寺」として知られている。秋のバラが咲いていたが、白砂の庭に沿う紅葉も見頃だ。続いて伊達家の菩提寺として格式が最も高い瑞巌寺へ。本堂はむろん庫裡も国宝だ。境内の宝物館を見学した後、松島の遊覧船乗り場へ向かった。
ちょうど12時に松島湾一周の遊覧船に乗った。観光シーズンであり、船内はほぼ満席だった。50分のコース、外洋に出ると、少々揺れて波しぶきが立った。
遊覧船を降りて五大堂を背景に参加者の記念写真を撮った。そして五大堂に詣でた後、塩釜の塩竃神社へ。社殿は重要文化財だ。芭蕉は「おくのほそ道」に「塩竈の明神に詣づ。国守再興せられて、宮柱ふとしく、彩椽(さいてん)きらびやかに、石の階九仭にかさなり、朝日朱の玉垣をかかやかす」と記している。同じく芭蕉が立ち寄った多賀城の政庁跡、その近くにある壺の碑(いしぶみ)を見て予定した史跡巡りを終えた。
(文責・川面)