第122回俳句同好会
多摩稲門会のサークル「俳句同好会」の122回目の句会が2月16日午後、多摩市関戸の公民館和室で開かれ、メンバー8人の全員が出席した。前回までは句会の一週間前に投句を世話人に送り、世話人が投句をまとめてメンバーに伝えていたので句会当日は選句と合評だけでよかったが、今回から当日、短冊に書いて投句することに替えた。短冊の句を清記し、その場で選句するわけだが、選句力を高めることに役立つ方式と言えるだろう。
また前回から兼題句を作ることにしたが、今回は「春寒し」と「蕗の薹」。当日はまさに「春寒し」となり、季語の本意を実感しつつ投句を評する句会になった。同会は句会後、有志が懇親会を開くが、当日は天ぷらの店に寄り、蕗の薹の天ぷらを味わった。これまた俳味を実感し、一興となった。
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選句結果は以下の通り。カッコ内は選句者名。特選は◎で表記。
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すれ違ふ言葉ばかりの春寒し―――松井秋尚(川面◎、辻野、又木、宮地)
春泥の靴の乗り込む無人駅―――川俣あけみ(辻野◎、長張、宮地)
もう少し摘むを待つかと蕗の薹―――松井秋尚(長張◎、宮地)
江戸風の街うららかや時の鐘―――川面忠男(又木◎、川俣)
せせらぎの音の勢ひや蕗の薹―――川俣あけみ(宮地◎、白井)
まんさくや先づは一校合格す―――又木淳一(川俣◎)
蕗の薹もらふ庭先犬の吠ゆ―――川面忠男(松井◎)
祈りたる能登の雪解遠からじ―――川面忠男(川俣、白井、又木、宮地)
曇り日は白さ浮き立つ梅日和―――辻野多都子(川面、白井、松井)
色も香も刻む指先ふきのたう―――宮地麗子(川面、川俣、白井)
硯海に春雪を足し墨を摩る―――川俣あけみ(辻野、又木)
霜を割り空を見つめるふきのたう―――白井昭男(辻野、長張)
抜け出せずあともう少し春寒し―――白井昭男(長張)
一株に日を集めるや水仙花―――長張紘一(松井)
冨士の白際立つ空や春寒し―――宮地麗子(松井)
蕗の薹屈めば母も妹も―――又木淳一(川面)
まだ芽出ぬ札の名を読む春寒し―――松井秋尚(長張)
天ぷらの焦げ目愛しみぬ蕗の薹―――辻野多都子(又木)
征爾読みガザ地区を読む春寒し―――川俣あけみ(松井)
春暁やラクダの背に日は昇り―――辻野多都子(川俣)
高台のロケのメガホン春来たる―――又木淳一(辻野)
虹色の春ショール巻き友見舞ふ―――川俣あけみ(川面)
ぽつねんと土混じりたる雪だるま―――宮地麗子(白井)
(文責・川面)