第126回俳句同好会
多摩稲門会のサークル「俳句同好会」の第126回目の例会が6月21日、多摩市関戸の公民館和室で開かれた。欠席者1人を含め8人が5句ずつ投句したが、句会には7人が出席して特選1句を含む5句を選句した。兼題の「蛍」と「花菖蒲」でそれぞれ1句を作れば、残り3句は当期雑詠でもよいとする句会だが、蛍を季語にした句が40投句の中で11句と多かった。
特筆すべき句は〈蛍狩鼻緒のゆるき宿の下駄〉で特選とした1人をはじめ5人が選句した。つまり句会の出席者のうち作者を除く全員が選んだわけだ。熱海の梅園に蛍を見に行ったときの句という。
第2席の〈川沿ひの闇膨らみて蛍待つ〉は「闇膨らみて」という表現が蛍を待つ期待感と相俟って優れているという句評だ。
その他、〈万緑や膝の痛みの抜け出づる〉、〈予後の身や豆飯の豆噛みしむる〉など自身の体調を題材にする句も目立った。句会のメンバーの高齢化を反映している。
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選句結果は以下の通り。カッコ内は選句者名、特選は◎で表記。
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蛍狩鼻緒のゆるき宿の下駄―――川俣あけみ(宮地◎、川面、白井、辻野、長張、又木)
川沿ひの闇膨らみて蛍待つ—――松井秋尚(川俣◎、白井、宮地)
沙羅の花の散りゆくに似る逢瀬かな―――川俣あけみ(川面◎、辻野、宮地)
蛍狩の人の影追ひ谷戸の闇―――川面忠男(長張◎、白井)
流蛍の水に写りし孤独かな―――辻野多都子(又木◎)
万緑や膝の痛みの抜け出づる―――宮地麗子(白井、辻野、又木)
蛍の引き行く線の何処までも―――松井秋尚(長張、又木)
日曜の夫婦ふたりの田植かな―――宮地麗子(川面、川俣)
蛍の一拍置いて線つなぐ―――松井秋尚(川面、長張)
声明の花頭窓より額の花―――又木淳一(川面、川俣)
また見たし濃き紫の花菖蒲―――白井昭男(長張)
飛び立つを待てばけむれる合歓の花―――辻野多都子(又木)
予後の身や豆飯の豆噛みしむる―――川俣あけみ(辻野)
梅雨冷や不運重なる友とあひ―――辻野多都子(宮地)
蛍を誘ひてをり傘の中 ―――宮地麗子(川俣)
明易しゆうべ飲みたる痛み止め―――宮地麗子(辻野)
闘病の果ての顔白菖蒲 ―――又木淳一(宮地)
雨に濡るる仄かな蛍谷戸の闇―――長張紘一(川俣)
花菖蒲手入れのひとの赤だすき―――宮地麗子(白井)
(文責・川面)