第131回俳句同好会
多摩稲門会のサークル「俳句同好会」の11月例会が15日午後から多摩市の関戸公民館和室で開かれ、9人が参加して5句ずつ投句と選句を行った。「初冬」と「枯野」を季語とした兼題句と当期雑詠句、合わせて45句のうち28句が選句された。
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選句結果は以下の通り。特選は◎、並選は〇で表記した。
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山眠る島や迷路のごとき街―――川面忠男(富山◎、松井◎、辻野)
少年の吾に会ふ山や石蕗の花―――川面忠男(又木◎、辻野、松井)
室生寺
朱唇仏に深くまみえり菊日和―――川俣あけみ(辻野◎、松井)
能舞台の笛の一鳴り冬に入る―――川俣あけみ(宮地◎、松井)
しぐるるやふり続けるは我ばかり―――白井昭男(長張◎)
足早に無言通して行く枯野―――松井秋尚(川面◎)
この先は日の没つる径枯野人―――又木淳一(川俣◎)
隠沼の色を深めて冬はじめ―――松井秋尚(川俣、白井、又木、宮地)
八ヶ岳
ショパン聴き戻れば古き暖炉燃ゆ―――辻野多都子(川俣、白井、富山)
伝説の戦場跡の枯野原 ―――川面忠男(辻野、宮地)
やっと香を取り戻したる初冬かな―――松井秋尚(長張、又木)
独り居の部屋やせめても冬構―――宮地麗子(川面、富山)
電飾の吾を射てしろし寒の夜―――富山珠恵(川面、又木)
観世音巡れる旅や冬はじめ―――川俣あけみ(川面、又木)
初冬の雨となりたる街静か―――松井秋尚(白井、富山)
膝や腰たよりなきまま冬はじめ―――宮地麗子(長張)
子や孫の居りても独り枯野道―――宮地麗子(長張)
枯野のごと記憶は薄れ色もなく―――長張紘一(川俣)
小春日やしばし休戦あらまほし―――又木淳一(白井)
揚げ幕が下りて枯野が残りゐる―――富山珠恵(宮地)
夢にゐて霧花無限を漂へり―――富山珠恵(辻野)
枯原にイーゼル畳み入り日見る―――川俣あけみ(宮地)
山茶花や別れし友の背薄き―――辻野多都子(富山)
山せまり枯葉舞込む無人駅―――白井昭男(松井)
神の掃く初冬の空や風の道―――富山珠恵(長張)
初しぐれ色づき初むる街にじむ―――宮地麗子(川俣)
地球儀を左右に回す初冬かな―――又木淳一(川面)
見納めと思ふ初冬の屋島かな―――川面忠男(白井)
(文責・川面)