2009.11(第108回) 石割山
晩秋の山は景色の変化が激しい。落葉樹の緑の葉もそれぞれ黄葉・紅葉となり直に景色から消えてゆく。今日の石割山は、登山口まで高速バスで行くことができる手軽さで、何時もの電車の旅からバスの旅となった。高幡不動駅からモノレールで甲州街道駅、徒歩で中央自動車道のバス停へ向った。高速道路の駅は何処も不便な所にある。今日は連休初日にあたり8時13分発のバスは、道路が込み終点平野には40分ほど遅れて着いた。
今日のメンバーは、伊藤さん・川俣さん・中川会長・川面さん・依田さん・宇田川さん・山岸さん・金子さん・長張の9名である。金子さんと宇田川さんは登山口での合流である。伊藤さんは久しぶりの参加であった。
11時前に徒歩開始し、石割神社前社から赤い鳥居まで30分、そこから本日の最大の難所と云われる石の階段が続く。真っ直ぐな階段がいつまでも続く。途中踊り場のような所で少し角度を変えてまた階段が続く。高度が上がるに従って真っ青な空に富士の頂が顔を出してきた。
12時少し前石割神社奥社に到着。名前の由来の巨大な岩は2つに割れ、岩の間を皆でくぐってみた。時計周りで3回通ると幸運が開けるとの案内版があり、一同逆回りで進んでしまい、やり直した殊勝なメンバーもおられた。
石割岩を後にして、あちこちに点在するブナの巨木をやり過ごし、山頂までの急坂を登ると広い山頂にでた。風のない穏やかな快晴の下で大勢の客がそれぞれ昼食をとっていた。
眩しい太陽の下で大きな富士を眺めながらの食事である。大きく広がる裾野は手前の山中湖に至る。雪に覆われた山腹にはジグザグに雪上車の跡のような線が走っているのがはっきり見える。
富士の右側の裾野向こう側には南アルプスが連なり、北の端にある甲斐駒ケ岳もよく見えていた。この時期の山頂での食事は、寒さのため早々に引き上げてしまうのだが、今日は暖かく富士の絶景が目の前に大きく広がり、普段より長居をしている。富士の左側の裾野には雲が沸き立つようになびいてきた。
霊峰に竜雲立ちぬ小春かな
今回は、川俣さんから幾つかの句を添えてもらった。
湖の反対側には忍野の街並みが続いている。湖を大きく囲む尾根道を下る。幾つかの頂を越えるがもう急坂はなく、なだらかに下るだけである。落葉樹の葉はほとんど散って明るい。ササの生茂る気持ちの良い、ハイキングコースが続く。
平尾山には1時半ごろ、そこも展望はよく中央の湖面が陽を反射させてキラキラ輝き、湖岸の樹木のシルエットが浮かび上がっていた。
大平山への尾根道は、ササから一面の枯れススキにかわり柔らかそうな風景に一変する。大平山の眺望も良く、富士の姿は両手を広げる中にある。湖面の輝きは更に増している。
長池山から車道に出てホテルマウント富士を通り過ぎた頃、陽は富士山頂に近づいていた。山岸さんと下りを急いだ。西側に行くほど陽が山頂に近づくようである。やがて、コースは陽の当たらない谷筋に入ってしまったので少し諦めたが、湖岸辺りがまだ陽がさしているのが遠くに見え、更に足を早め下って行く。湖岸に着いた時も陽がさしていた。しかし、写真を2枚撮った後は、一瞬に沈んでいってしまった。ダイヤモンド富士もどきを納めることができ、富士の景色におまけがついた。
山路を抜けて霊峰冬陽落つ
山中湖湖畔に居を移した宇田川さんのご好意でマンションの共同浴場を利用させて頂くことになった。一同ご好意に甘え、汗を洗い落とし疲れた足腰を温め、またビールに夫人お手製のパンを頂いた後、富士吉田行きのバスに急いだ。今日の山歩きは幸運なほどの天候に恵まれた。その上、一日中霊峰を望みながらのハイキングは、それほどチャンスはないだろう。 長張 記