2009.10(第107回) 鷹ノ巣山
朝晩は肌寒いほどの季節になってきた。真夏の風のない晴れた日の奥多摩は、蒸し暑さで体力を消耗させてしまい敬遠しがちの山ではある。まだ紅葉の季節に入ってないが、奥多摩のハイキングは今が絶好の季節となった。
今日のメンバーは、山岸さん・川俣さん・柴田さん・金子さん・長張の5名である。歩行時間は6時間の健脚向けのコースであり、その上、累積標高差は1358㍍と過去最高であるらしい。金子さんはかつて唐松の新緑と紅葉をこのコースで楽しんだ山との事である。
陽も短くなり歩行距離も長いことも重なって、今日は、立川駅の出発時間が6時4分といつもより早めである。それでも、ゴルフや釣りなどの出発はさらに早いと聞いている。
奥多摩駅からバスで終点の東日原で降りる。途中の川乗山登山口で7・8人が下車し、同数程のハイカーが我々と共に下車した。道路に沿って少し登った所に登山口があり、河原まで下る。稲村岩は丸く尖がった岩峰で、正面から見ると断崖絶壁で登れる? が山の会は以前、ここに登り、紅葉と絶景を満喫したとのこと。
巳ノ戸沢を離れ一気に急坂を登りきると稲村岩の基部につく。ここから岩の頂には僅かな時間で往復可能という。しかし先がある。鷹ノ巣山への急峻に向う。2.5kmの距離に900mの登りである。長い辛抱のいる登りであるが、短時間の中に高度は確実に上がって行く。皆のお喋りも段々と少なくなってくる。山岸さんのペースメークで適当な休憩タイムを取る。きついながらも、コースタイムから遅れている訳ではない。急峻の登りが終わる頃、小さな平坦地に辿り着いた。ここがヒルメシクイノタワと呼ばれる所である。ここで一息入れた。
ここまでは、全く下りのない2時間半の急峻を登りきる。原生林の中のカエデ類の紅葉が、疲れを癒してくれる。ここでの昼食にはまだ早いが、名前に敬意を表し一寸した食事を摂る。そこを過ぎると、傾斜も緩やかになってきた。真っ赤に染まったモミジを愛でる余裕も出てきた。11時少し過ぎに鷹ノ巣山頂。
山頂は広く開け、南側の展望が素晴らしい様であるが、今日は生憎、霧がたちこめ視界がきかない。山頂には数人のハイカーが昼食を摂っていた。下山は、カヤの木尾根の下り計画から、六つ石山経由で水根に下りることにした。
雲取山からの長大な尾根(石尾根)を辿る。
尾根は、幅の広い防火帯となっており、横に大きく広がり思い思いに歩く事ができる。傾斜の緩い尾根通しを下って行く。2時間ほど広い尾根通しを行くと、六つ石山分岐に達し、そこからわずかな登りで六つ石山頂に着いた。この山頂からの眺望も素晴らしいのだが、この日はガスが濃く殆ど見通せない。山頂には4.5人の先客が車座になって歓談している。ウイスキーのビンが傍らにある。そういう山の楽しみもあるかと、暫しうらやむが、我々にも下山後のビールが待っているのだ。
ここからは、水根まで一気に下る。しばらくはお花畑と称する尾根道の続きを下る。お花畑にはトリカブトの青い花が2株ほど、外の花は見られなかった。一面にダケブキのミイラのように丸い種を付けた穂が、道に沿って棒のように立っていた。ヤマグリのイガがあちこちに落ちているが、中身が何故か消えている。リスなどの仕業だろう。やがて急降下が始まるが、奥多摩湖の姿はなかなか見えてこない。疲れた脚に急降下の下りは、さらに疲れを増してくる。
2時間ほど下るとやっとダム湖が眼下みえた。長い一日だった。一同ほっとする。
水根から奥多摩郷土資料館まで、疲れた脚を励まし、4時19分のバスに間に合わせた。当会で2度目鷹ノ巣山だったが、その経験のある参加者にとって稲村岩尾根の急登、石尾根の爽快さは初体験の山と言う。今日は山岸さんの参加50回目という。立川駅で下車し居酒屋「味工房」で、何時ものように山歩きの後の渇いた喉を潤し、至福の一刻を過ごし散会。 長張 記