2009.02(第100回) 伊豆ヶ岳
西武秩父線沿線の山並みは多摩の山並みとは一味違う雰囲気が漂っている。それは、奥武蔵・秩父の独自の歴史かも知れない。その中で伊豆ヶ岳は、奥武蔵の銀座通りといわれるほどハイカーに人気がある。正丸駅から直ぐに登山口となる気楽さも起因しているようだ。
今日の参加者はリーダーの金子さん・山岸さん・柴田さん・長張の4名である。朝の冷えた空気が漂う正丸駅を9時24分に降りた。4.5日前、静岡では夏日を記録した。その反動で一変し寒波が勢力を増し縮み上がる寒さであるが、冬の山はこのような気候が似合っている。正丸峠までの道のりは、冷気が漂う風のない沢に沿った斜面である。
土石流で少し荒れてはいたが1時間ほどで峠の尾根筋に着くことができた。尾根筋に沿って子の権現までのルートには幾つかの山の峰を通り、アップダウンの繰り返しが続く。
全行程の累計の高度差は、千メートル弱の5時間10分となり健脚コースでもある。2時間ほどで雪の積もった小高山を通過し伊豆ヶ岳に着いた。その頂上の南側の風のない場所で、少し早やめの昼食をとることにした。金子さん持参の簡易コンロでの、暖かいおでんは、冬の寒い昼食には大変なご馳走である。山頂は何組ものハイカーで賑わっていた。
12時に行動開始。古御岳へは急斜面を下り、また急斜面を登る。古御岳は樹木に覆われた頂から、葉のない梢を通して山並みが見渡せる。先ほどの二子山の奥に見えていた武甲山の階段状の頂は、山の影になっていた。
古御岳までは、まだ全行程の3分の1ほどでこれからの長さが実感できる。次の頂は高畑山である。この辺りから、頂の間隔が長くなってくる。急勾配が続くコースと云っても、尾根筋には平坦な気持ちの良い山道も続いている。
1時少し過ぎに高畑山に着いた。この頂も、周りは樹木に覆われているが、梢越しに先ほど通過した古御岳・伊豆ヶ岳が見渡せる。
次の目的地の天目指峠までは、なおもアップダウンを繰り返しながら徐々に下ってゆく。
根回り2m以上のモミの大木が並木のように続く道もあり、古い山道である。関東ふれあいの道にも指定され、道標や道も整備されて、歩きやすい道である。
天目指(あまめざす)峠は、竜神の伝説が残る峠で県道が横切っていて、そこからまた上りとなる。天目はこの付近の方言の豆柿のことであり、指とは焼畑のことであると、説明書きが掲げられていた。下ってきた尾根道を巻くような車道は、車の気配もなく寂しい場所であった。休む事もなく2時に通り越し、また山道を登る。
子の権現は武蔵野33観音32番札所である。正しくは大鱗山雲洞院天龍寺と呼ぶ。
天台宗の古刹で、足腰の病に霊験あらたかといわれ、鉄のわらじや高下駄がまつられている。我々は山門を逆コースで進んでいるため背中の向こう側に仁王像・子の権現がある。
3時少し過ぎ、子の権現からは吾野駅まで下りだけである。山道からそれて山道を下るが直に車道となり、1時間強で吾野駅に着き、4時27分の電車に余裕を持って乗り込むことができた。八王子駅に出て、山歩き後の席を設け、大いに歓談した。久しぶりの柴田さんも元気で一日楽しめたようである。子の権現のわらじのお陰であろう。
山岸さんらにより「山歩きの会」の記録を遡って調べて頂いた。今回は99回目となるそうである。次回の100回目は、筑波山の予定となっている。日本100名山の一つであるが、その中で標高が一番低い名山としても有名である。 長張記