2009.01(第 99回) 九鬼山
今年最初の山歩きは、都留市の九鬼山である。昨年の夏、高川山の山頂から、富士急線の向こう側に構える九鬼山を望んだ時に是非登ってみたいと思っていた。両山の山頂直下にリニアのトンネルが掘られている。高川山の頂上から周りの景色を眺めていると、九鬼山の山腹のトンネルから小さく見えるリニアの車体が現われ、瞬く間に足下に入り込む姿が印象的であった。今日の参加者は橋本さん・山岸さん・長張の3名である。リーダーの金子さんや何時もの川面さん、川俣さんは用事が重なり参加されていない。9時12分禾生駅を降りた。正月の暖かさから一変して寒波が勢力を増していたが、2・3日前から緩み始めている。
駅前の国道を左折し、しばらく進むと落合水路橋のレンガ造りのアーチに出合う。桂川の上を跨ぐ水路は100年前の建造物と、上部の背後に見える橋はリニアの橋脚である。
民家のある車道をしばらく上って行くと、杉山新道への岐路に出る。右に折れるとやっと山道になってきた。所々雪が残っている。スギの人工林からアカマツ林と代わる頃は高度も増し、鈴ヶ音峠からの尾根道に合流すると展望が開けてきた。
眼下のリニアの線路はまだ真下ではないので頂上がどの辺りか検討がつく。高川山も同様に頂上直下を貫かれている。山頂まで後2分と表示されている広場は、富士の裾野まで広がるビューポイントであり、この場所以外で全体を見ることはなかった。都留市の秀麗富嶽12景の一つであるが、真っ青な空に、真っ白な富士とはいかず、湿気があるのか少し靄っている。富士の裾左側手前は御正体山で、右側の都留市の街並みは氷河の流れのように見えた。
富士の見える広場は、5・6人のパーティが数組昼食の用意をしていた。11時を少し過ぎた頃であるが、我々もこの場所で昼食をとることにした。この時期は震えながら食事をとることが多かったが、今回は、風もない暖かい場所での昼食であった。
山頂には丁度12時、北側は開けているが、南側は樹木が多く富士の一部が望めるだけである。山頂からの最初の下りは北斜面で残雪があり凍結している。アイゼンを装着して、慎重に岩場の急斜面を下りて行く。
予定コースは、札金峠手前の分岐で多野倉駅に下る事になっていたが、天気や風・雪の状況が良いので、札金峠から足を延ばし尾根に沿って猿橋駅に向うことになった。1時間半ほど長くなるが快適なハイキングが望めそうである。
尾根道の登りは南斜面で雪が無く春の山であったが、下りは雪の残る北斜面の繰り返しであり、アイゼンは猿橋の街に入るまで装着したままであった。札金峠には1時に着いた。太い樹木に覆われ暗く、いかにも昔の峠道である趣のある古道が東西を横切っていた。
尾根道には幾つかの山頂があり最初の馬立山へは、また幾つかの上り下りがある。橋本さんは2本のストックを上手く使いこなして進んでゆく。標識は整備されてはいるが、進路を塞ぐ倒木が多い、しかし気持ちの良いハイキングコースである。
馬立山山頂は15人の高齢者の団体で一杯になっていた。猿橋駅までその団体は、我々の少し前を歩いていた。
御前山に到着した時も、15人の団体で狭い山頂は賑わっていた。我々が到着すると場所を開けるためか、先に向っていく。
残された山頂は元の静けさが戻ってきた。我々はしばらく山頂からのパノラマを楽しむことができた。山岸さんは、中央本線の北側に続く登頂済の山々を目の当たりにして感動し写真を撮っていた。猿橋駅には3時半過ぎに到着。八王子駅で乾杯し、今日の成果を語り合い、次回予定の奥武蔵・伊豆ケ岳に元気で参加を約し散会した。長張記