2006.06(第 77回) 姫路・焼山
前回予定したコースが荒れ模様のため延期され、今日同じコースで実施された。丹沢は多摩市から近い距離にありながら交通アクセスが悪く、早めの出発で6時20分聖蹟桜ヶ丘駅集合である。駅ホームのベンチには、既に伊藤さん・宇田川さんと金子さんが雑談をしていた。高幡不動駅で山岸さんと合流し、今日のメンバー5人全員が揃った。高尾駅から中央線に乗り換え藤野駅で下車する。藤野駅は陣馬山・高尾山コースの馴染みの駅であるが、今日は時間が早いせいか登山客は見あたらず、タクシーを早めに押さえようと急いだにもかかわらず、1台も止まっていなかった。駅より街道筋に少し下がった所にあるタクシーの案内所でしばらく待つことにした。案内所の車庫には無人のタクシー3台が駐車しており、営業開始前の状況であった。
先週の金曜日に梅雨入りし昨日は大雨であった。今日の夕方からまた雨で昼間一時晴れることもあり蒸し暑くなるとの予報である。半時間ほど待つと運転手が軽自動車で通勤してきた。早速駐車してある一台のタクシーに乗り換えて、われわれ5人のメンバーを乗せて出発した。30分ほどで上青根登山口に着いた。このルートは私の持っているマップには路線バスで40分と表示されているが、現在は赤字路線だったのか廃止されている。メンバー全員身なりを整えて歩行開始。登山口からしばらく舗装された車道を分岐点まで緩やかに上って行く。分岐点で一休みする。分岐点から先のどちらのルートも八丁坂の頭までたどり着けるが、右に折れる方が多少袖平山近くの尾根筋に出る。ここからは道は細くなり一列になって登ることになる。この急坂を登り終えてしまえば残りはなだらかな稜線が残るだけ。辺りにはフタリシズカが多く見られこぼれ種で広く繁殖していた。
高度が上がるに従ってギンリョウソウが次々現れてきた。珍しい植物ではないが葉緑素をもたない腐生植物の一つで私は始めてみる奇妙な植物である。山岸さんもカメラに収めていたが、暗すぎて明るい所で撮りたいと呟いていた。もともと暗い林の下の腐った木や枝葉に育つものだから明るい所には探してもない。今日のお目当てのシロヤシロはみられなかった。ヤマツツジのシーズンも終わりで、わずかに咲き残っていた。
伊藤さんは今日も何時ものように、急坂をもろともせずに息も上がらずお喋りし通しである。野鳥の囀りの度に鳥の名前を教えて貰えるのだが、山を降りてしまうと殆ど記憶の外にいってしまう。メモしておく事が必要と分っているが、なかなか急坂を登りながらメモることも難しく、また囀りの録音が必要かも知れない。その中で鳥ではないがハルゼミだけは覚えることができた。八丁坂の頭までの後わずかの所から宇田川さんの歩みがスローペースになってきた。腿がつってしまったらしくかなり辛そうである。このまま続けられるか心配である。右腿左腿からふくらはぎへと、患部をかばう度に次々と攣る場所が変わっていくそうである。傍目からみてもこのまま続けることは無理ではないかと思える。それでも尾根筋にでることができた。姫路まであと少しである。
袖平山で昼食の予定であったが、途中の姫路という広く開けた展望台で昼食をとることになった。広いスペースは我々メンバーだけの占有となった。蛭ヶ岳は尾根伝いに3キロほど真南に聳えており雲に見え隠れしていた。
昼食を食べ足を休めたためか宇田川さんも元気が出てきたようである。袖平山には片道20分ほどであるが時間を節約するために、ここで引き返し焼山に向かうことになった。午前の尾根筋を少し戻りそのまま真っ直ぐ尾根道を進む。整備された東海自然歩道で高低差が少ない快適な稜線である。焼山山頂には3方向に向かった祠があった。案内板には青根・青野原・鳥屋の3部落の境界を示すものと伝えられていると書かれていた。また、鉄骨の展望台やベンチが設置されている。展望台に上ると宮ヶ瀬湖が薄っすらと見下ろせた。晴れていれば絶景なのだろう。焼山から下りに入りピッチもあがり時間の余裕もできた。これからはゆっくり下山を楽しめる。途中、ヒルに注意の看板が立っていた。午前中からこの話題があり、昨日テレビに鹿と共に人家の側に現れて駆除に難儀していると放映されていた事など話をしていた。ヒルを見たことがない山岸さんが、地面を指してこれは何かと質問された。まさしくヒルである。これが最初の出会いであり、残りの2・3キロの道のりで、皆合わせて数十匹のヒルを靴や足首から退治する作業を余儀なくされた。それでも靴の中に入ったヒルにより靴下が血で真っ赤に染まるほどの被害に遭遇した金子リーダーを皮切りに、次々に被害が飛び火していった。思い出すだけでも気色が悪い経験であった。ヒルが待ち受けている下山道を逃げるように急いで降りたため、バスの出発より1時間も早く到着することができた。今日のビールは格別に旨いことだろう。 長張 記