2012.05(第129回) 箱根山(神山)
本会の例会が雨天のため中止となり、今年になって今回が2回目の「山歩きの会」となった。5月の連休後天気は安定せず、竜巻や雹・雷などで昨日まで大荒れの天気が続いていたが、幸運にも大気は今日から安定してきた。
新百合ケ丘駅ホームに今日のメンバーが集合した。櫻井和子さん・中川邦雄さん・金子宏二さん・長張紘一の4名である。ロマンスカーのそれぞれの座席で小田原駅に着き、箱根園行きのバスに乗り込んだ。西武系の伊豆箱根バスはさほど多くない客を乗せて、大学駅伝のコースで馴染みのある狭い車道を只々登って行く。そして幾つかの観光スポットを経由して1時間余をかけて箱根園に到着した。
芦ノ湖のパノラマを眼下見てから、箱根駒ヶ岳ロープウェーを使い、標高差600mを7分で駒ヶ岳山頂駅に登る。温度は8度、そして風もあるので寒さを感じ、一枚上に羽織る。そして取り敢えず山頂にある箱根元宮神社を詣でる。
山頂からは富士が間近に迫り雲の上に浮かんでいた。眼下には芦ノ湖が横たわり、幾つかのゴルフ場が見渡せる。駒ヶ岳はハコネサザと呼ばれる低い笹で覆われていた。
外輪山が遠く一周している。約3千年前、山体西部を崩落させて堆積物がカルデラ内の川をせき止めて芦ノ湖を形成したといわれている。今日の徒歩開始は12時少し過ぎここから始まる。神山への鞍部をめざし急降下。途中、コースを間違えて沢に入った。直ぐに気付いて引き返す。踏み跡など注意を怠らなかったからだろう。戻ってから直ぐに、坊ガ沢分岐と呼ばれる広場に着いた。そこで遅めの昼食をとった。広場には数組みのハイカーが休んでいた。広場にはバイケイソウが繁茂しヒメシャラの大木があり、メグスリノキの花が咲いていた。箱根山塊の最高峰である神山々頂を2時過ぎに踏む。
山頂は木々に覆われ下の景色が若葉越しに見渡せる。神山は、古くから神の山として崇められていたというものの、特に普通の山頂と代りばえなく平凡な頂きであった。
ベニバナヒメイワカガミの群生が現れたのは冠ガ岳への分岐から少し登った所である。一面に広がり開花時期に合致したようだ。花弁の先端は細かく裂けている。このような可憐な姿は滅多には見られない。昨年4月に奥多摩坪山にイワウチワの群生を見たが、イワカガミは時期が早く開花は見られなかった。
中川さんは箱根には多く訪れているが箱根山だけは未踏であり、一人ででも登りたい山であったそうである。80才近くなられ何時まで歩けるかご自身気にされてはいるが、ますますの健脚振りには見習いたいものである。
冠ガ岳から再び分岐に戻り大涌谷へ向かう。遠くの山膚にもミツバツツジの花が縞模様になって見えているが、道際にも時々現われる満開のツツジの花をやり過ごす。5月の強い日差しであるが、涼しい風もあり汗ばむほどではなく心地良い。
下り客は大涌谷分岐で別の道からも合流し、長い行列の中に入り込みゆっくり下っていく。下るに従って温泉の硫黄の燃える臭いが風に乗ってくる。イワカガミの群落はあちこちに見る。「あゝまたある」とは”路傍の石“か、
先程の冠ガ岳が聳え立っている。下から見上げると急峻な山容を下ってきたことが解る。
大涌谷の岩肌からあがる湯けむりは徐々に近づき、ゴロゴロした岩を伝い注意深く下って行く。硫黄のガスで立ち枯れた樹林を過ぎたころ、大きな駐車用には車で溢れ数えきれないはどの観光客が小さく見えていた。ゴンドラもゆっくり通過して行く。4時少し前に大涌谷に着いた。大涌谷駅からロープウェーやケ-ブル・登山鉄道を経由して帰る計画であったが、4時少し過ぎに遅れて来た朝と同じバスで箱根湯本まで、小田原駅でロマンスカーに乗り換えて永山駅で下り、そば屋「はなわ」で今日の山歩きの成果を語り合うことができた。
長張 記