史談会「ウクライナの歴史」
2014年06月29日
第25回「歴史に遊ぶ会」は、国際的に動向が注目されているウクライナの歴史を概観した。稲門会の会員7人とオブザーバー1人の計8人が6月24日午後、多摩市の公民館「ベルブ永山」のサークル室に集まり、山形産サクランボをつまみながら歴史を振り返る一時を過ごした。
同会が海外の歴史をテーマにするのは初めて。ウクライナ大使を務めた黒川祐次氏の著書「物語ウクライナの歴史 ヨーロッパ最後の大国」(中公新書)をテキストにした。参加者の誰もがウクライナの歴史には不案内で、その意味では「遊ぶ会」が「学ぶ会」になった。
ウクライナにはキエフを都とする「キエフ・ルーシ公国」があったが、時代が下ると、リトアニア・ポーランドの支配地となり、18世紀末にはロシア・オーストリア両帝国に支配が変わった。第一次世界大戦後は4カ国に支配されていたが、第二次世界大戦の処理によりウクライナ人居住地域はソ連邦の下の共和国にまとめられた。
しかし、ウクライナは長い間、他国家の支配下にあっても、言語、文化などウクライナのアイデンティティーを失わず、ソ連邦の崩壊により1991年独立国家となった。
スターリンの圧制の後、フルシチョフはウクライナ融和策としてクリミアをウクライナ領に入れた。これはウクライナが独立すると予想していなかったからだが、ロシアは今年3月クリミアをロシア領に編入した。
ウクライナ情勢は毎日のようにテレビや新聞で報道されているが、一般にウクライナに関する知識は十分でない。ウクライナが欧州の穀倉地帯であり、農業だけでなく工業国家でもあるとわかり、当日の参加者は改めてウクライナを欧州の大国として認識したようだった。