一期一会となった「いねの会」
2020年08月23日
多摩稲門会のカラオケサークル「いねの会」は3月から4カ月の中止を経て7月から再開したが、8月も18日に実施した。会場はいつもの通り多摩市・関戸のビルの5階にあるスナック「麗」で正午から5時まで貸し切りにしてもらい、8人が参加した。参加者は事前に10名以下と連絡したが、8人にとどまったのはコロナに感染することを恐れて不参加になったメンバーがいたからだ。
3密回避策として店の入り口のドアは半開きにし、参加者は向かい合って座らず各人がフェイスシールドを被った。マイクは歌い終わるたびにアルコール消毒をした。
選曲では尾ノ井さん(多摩稲門会会長)が、先日亡くなった俳優の渡哲也さんを偲んで渡さんのヒット曲「くちなしの花」を歌った。その後で「吉永小百合の恋人は渡哲也だったのか」と筆者に訊ねられた。「渡哲也かどうかは知らないが、昭和40年頃の吉永小百合に恋人がいたのは確かなようだった」と応えた。当時、吉永小百合さんが撮影所に通う際に利用していたハイヤーの運転手から聞いた話だ。そのハイヤーは夜、筆者が日本経済新聞の社会部記者として東京地地検特捜部が捜査している事件取材で利用していた。毎晩の夜回りで運転手とも親しくなり、車中の雑談で目撃談を聞いたものだった。
稲積さんはアロハ姿でハワイアンの「カイマナヒラ」などを歌った。以前、8月は納涼「いねの会」として行い、参加者は浴衣かアロハ姿だった。今年は通常通りとしたが、稲積さんは遊び心の豊かな人でアロハを着てきたものだ。
午後4時を過ぎて2人が店を後にした。残り6人が歌い終わると、時計の針は午後5時を少し回っていた。その日は9曲も歌ってしまった。参加者が少なくなったからだ。
先に引き上げた一人が「縁があったらまた会いましょう」と言った。その言葉を聞いて「いねの会」はもう一期一会の集まりだと思った。コロナ禍で廃業する店が少なくないが、「麗」も10月末で店を閉じる。かつて世話役たちが数店を下見して「麗」を定例会場に決めたが、その世話役も高齢化し、3密回避の店を探すエネルギーが残っていない。このままでは「いねの会」は休会にせざるを得ない。