第91回俳句同好会
多摩稲門会のサークル「俳句同好会」の月例句会が7月16日午後、7人が出席、1人は選句を世話人に託してして開かれた。活動開始以来、休会はなく今回が第91回目、JRのダイヤが豪雨のため乱れがちになる中を京都方面に旅をした川俣あけみさんが〈荒梅雨や列車動けば旅人に〉をはじめ吟行句を詠み、投句の5句とも選に入ったのが特徴という月例会になった。松井秋尚さんの〈籐椅子の軋み主の在すごと〉をはじめ3句が特選句となったことも特筆できよう。
選句結果は以下の通り。カッコ内は選句者名(特選は◎で表記)。
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荒梅雨や列車動けば旅人に――― 川俣あけみ(辻野◎、柴田◎、長張、又木)
籐椅子の軋み主の在すごと ―――松井秋尚(宮地◎、川俣、辻野、又木)
翡翠や集めし視線ごと水へ ―――松井秋尚(長張◎、川俣、宮地)
近づいて蟻の視線になつてゆく―――松井秋尚(川俣◎、川面)
絵日傘の似合ふその人路地へ消ゆ―――柴田香代子(川面◎)
息凝らし待てばふたたび螢の火———宮地麗子(松井◎)
梅雨深し小舟舫へる葦の陰 ―――川俣あけみ(又木◎)
拗り花縺れて断ちし恋のごと ―――辻野多都子(川面、長張)
山梔子の花嗅ぐひとりまたひとり―――松井秋尚(長張、宮地)
たましひや胸に寄り来る蛍の火―――川面忠男(松井、宮地)
信長の直筆の文蚊の唸り―――川俣あけみ(辻野、長張)
里山の陽を集めたる枇杷をもぐ――― 柴田香代子(川俣、宮地)
木道のおみな嫋やか花菖蒲――― 川面忠男(辻野)
写経する寺の一隅草刈女―――川俣あけみ(柴田)
かもの子の姿探しぬ水増して ―――宮地麗子(又木)
紫陽花に囲まれ媼無垢となり――― 柴田香代子(川面)
螢の夕逝きし人の名次々と――― 辻野多都子(柴田)
青柿の落ちて歩道に鎮座かな――― 宮地麗子(又木)
川床(ゆか)料理危ふき風の吹き始む―――川俣あけみ(辻野)
座して伏せ上目遣ひの雨蛙 ―――長張紘一(柴田)
蛍火や墓誌に当歳名もありて――― 又木淳一(松井)
老鶯の声のいよいよ響きけり――― 川面忠男(松井)
向日葵の立ちつくしたり川轟々―――宮地麗子(川俣)
高く舞ふ低きは雌の蛍かな――― 長張紘一(柴田)
誕辰の老いを忘るる四葩かな――― 又木淳一(川面)
笑まふ写真や五月雨の遺作展―――宮地麗子(松井)
(文責・川面)