第96回俳句同好会
多摩稲門会のサークル「俳句同好会」の12月例会が17日午後、多摩市関戸の公民館和室で開かれた。第96回であり、サークル活動として発足して以来、8年を経たわけだ。
当日は9人が出席、そのうち8人が5句ずつ投句と選句を行ったが、今回も四国を遍路して詠んだ句が高得点となった。他に高得点となった句の下5、〈ほしいまま〉について合評で論議となった。杉田久女の代表句、〈谺して山ほととぎすほしいまま 〉の〈ほしいまま〉は久女が苦心して編み出した語であり、いかがなものか、という問題提起だ。結果は、名句を読み、それが意識の底にしみこみ、句を作る際に措辞として使ってしまうことはあるだろうという見解に止まらざるをえなかった。
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選句結果は以下の通り。カッコ内は選句者名、特選は◎で表記。
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琵琶の音や白山茶花の散る夕べ―――川俣あけみ(柴田◎、宮地◎、川面、又木)
裸木となりて月光ほしまま―――柴田香代子(松井◎、辻野、長張、宮地)
菅笠を吹き上ぐる風冬遍路―――川俣あけみ(川面◎、柴田、又木、宮地)
源平の合戦の地や小春凪ぎ―――川俣あけみ(又木◎、川面)
奪衣婆の小さき御堂柘榴笑む―――川俣あけみ(長張◎、辻野)
女人堂に秘むる一念帰り花―――川俣あけみ(辻野、又木、松井)
吾独り木の葉しぐれの中に居り―――宮地麗子(柴田、辻野、長張)
友逝きて余白広ごる年の暮―――柴田香代子(松井、宮地)
紅葉散る日の色めくりめくりつつ―――松井秋尚(川俣、宮地)
散紅葉胸に寄りくる外湯かな―――宮地麗子(川面、長張)
久闊の記念写真や木の葉髪―――川面忠男(川俣)
枯菊や今朝も剪られず命延ぶ―――宮地麗子(長張)
もがくほど師走の刻に溺れゆく―――松井秋尚(川俣)
年忘れ向かふ都心の遠くなり―――川面忠男(柴田)
屋島の合戦
嗣信が弓手射ぬかれ散紅葉―――辻野多都子(川俣)
奈良想ふ土産の葛湯吹きながら―――宮地麗子(又木)
冬青空頭を空にするベンチ―――松井秋尚(川俣)
木枯しやしばし耳鳴り遠ざける―――柴田香代子(松井)
清掃デー桜落葉と遊ぶ子等―――又木淳一(川面)
有る物で済ます夕餉や日短―――宮地麗子(辻野)
境内に出店作るも年用意―――松井秋尚(柴田)
書き直す終活ノート年の暮―――川面忠男(松井)
(文責・川面)