第102回俳句同好会
多摩稲門会のサークル「俳句同好会」の6月定例会が17日午後、多摩市の関戸公民館・和室で開かれた。今回が102回目。メンバー8人のうち7人が出席、欠席した1人も事前に投句と選句を世話人に伝えていた。その結果、投句数はいつもの通り40句となった。出席者は選句とともに21句を選び句評を述べ合った。連衆となって句座を続けているわけだ。
兼ねて吟行をしようと申し合わせていたが、ほぼ一週間前に7人が多摩市の「からきだの道」を歩いた。散策が主目的だったが、吟行も兼ねることになり、その後の句会こそ開かれなかったものの当日の嘱目句が第102回目の俳句同好会に投句されたので初の吟行句会ということになったと言える。高得点句となった〈攻め寄する藪蚊を払ふ砦跡〉をはじめ〈山路めく上り下りの七変化〉、〈湧き水の音流れくる木下闇〉、〈夏落葉厚く踏み行く砦山〉などは「からきだの道」を散策して詠んだ吟行句だ。
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選句結果は以下の通り。カッコ内は選句者名(特選は◎で表記)。
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黒雲の湧きて下山やかたつむり―――宮地麗子(川面◎、川俣◎、辻野、長張))
攻め寄する藪蚊を払ふ砦跡―――川俣あけみ(柴田◎、長張◎、川面、松井)
尾を上げて苔食む列や夏の鴨―――長張紘一(辻野◎、川面)
生かされて金魚に餌やる朝まだき―――辻野多都子(宮地◎、川俣)
梅雨寒や昼カラオケの追悼歌―――川面忠男(又木◎)
山路めく上り下りの七変化―――川面忠男(松井◎)
泰山木開き彼の世の声集む―――川俣あけみ(川面、辻野、宮地)
湧き水の音流れくる木下闇―――宮地麗子(川俣、又木、松井)
委蛇(いい)として丘陵蒼き梅雨入かな―――又木淳一(川面、松井、宮地)
何処までも纏はる藪蚊払ひつつ―――松井秋尚(柴田、長張、又木)
草も木も茂りて昏き径となる―――松井秋尚(長張、又木)
亡き友を友と語らひ冷し酒―――川面忠男(柴田、松井)
夏の蝶まひまひ井戸の底ひより―――川俣あけみ(辻野、宮地)
北国の廃線跡や虎杖伸ぶ―――辻野多都子(宮地)
灰色の雲間に滲む梅雨の月―――柴田香代子(川俣)
摘みたての青紫蘇添へて朝餉かな―――宮地麗子(辻野)
炳として騰がる物価や六月来―――又木淳一(柴田)
夏炉辺の軽き縁や雨を来て―――川俣あけみ(長張)
夏落葉厚く踏み行く砦山―――松井秋尚(又木)
傘となり驟雨を和す大欅―――長張紘一(柴田)
梅雨寒や降りる人なき山の駅―――柴田香代子(川俣)
(文責・川面)