第115回俳句同好会
多摩稲門会のサークル「俳句同好会」の句会が7月21日、多摩市の永山公民館和室で開かれた。今回が115回目。メンバー7人のうち5人が出席、2人がメールで投句と選句を行った。
投句は35句、選句は20句だが、その中の〈隠岐島誰と語らふほととぎす〉、〈蝋燭のやうな奇岩や夕焼空〉、〈日本海の群青集め濃紫陽花〉、〈若者の移り住む島烏賊釣火〉、〈京を恋ふ上皇の歌碑ほととぎす〉、〈遠島の海月らは誰(た)の転生ぞ〉という6句は、メンバー3人が島根県の隠岐島を旅して詠んでいる。隠岐の自然の嘱目句、後鳥羽上皇が流された承久の乱など歴史を踏まえた句だ。
また〈山内の傾り歩めり七変化〉は、メンバーが揃って東京・日野の高幡不動尊を訪れた際の句。〈二つ三つ花火の後の遠音かな〉、〈遠花火の消えぬいつしか星々も〉は有志が東京・府中の競馬場で催された花火を3kmほど離れた多摩市の大栗川の橋の上から眺めた際に詠んだものだ。
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選句結果は以下の通り。カッコ内は選句者名(特選は◎で表記)
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水煙に金星添へり青嵐 ―――長張紘一(辻野◎、川俣)
山内の傾り歩めり七変化―――又木淳一(松井◎、長張)
妖精は土より涌きぬ捩じり花―――辻野多都子(長張◎、川面)
隠岐島誰と語らふほととぎす―――宮地麗子(又木◎、松井)
蝋燭のやうな奇岩や夕焼空―――川俣あけみ(川面◎、又木)
日本海の群青集め濃紫陽花―――川俣あけみ(宮地◎)
山清水俄か仕立ての草柄杓―――川面忠男(長張、又木、宮地)
若者の移り住む島烏賊釣火―――川俣あけみ(辻野、又木、宮地)
焼酎のロックをぐいと飲む女(ひと)と―――松井秋尚(川俣、辻野、長張)
向日葵や笑顔浮かべて逝きたしと―――宮地麗子(川面、川俣、又木)
空青き隠岐の港の海月かな―――宮地麗子(川面、松井)
堂を覆ふ尖枯れし松青嵐―――長張紘一(辻野)
しばらくと多摩の横山道をしへ―――又木淳一(松井)
美しき素足歩みぬ雨上がり―――辻野多都子(宮地)
万緑や眼下に広く隙間なく―――川面忠男(松井)
京を恋ふ上皇の歌碑ほととぎす―――川俣あけみ(宮地)
朝顔市鉢ごと濡れて色競ふ―――松井秋尚(川俣)
二つ三つ花火の後の遠音かな―――川面忠男(長張)
妹の忌や山桃を散華とし―――又木淳一(川面)
遠花火の消えぬいつしか星々も―――川面忠男(川俣)
遠島の海月らは誰(た)の転生ぞ―――川俣あけみ(辻野)
(文責・川面)