第117回俳句同好会
多摩稲門会のサークル「俳句同好会」の例会が9月15日午後、多摩市の関戸公民館和室で開かれた。今回が第117回目。当日はメンバーが1人増え、8人がそれぞれ5句ずつ投句、選句した。
当日の第一席は〈眼鏡拭く秋夕焼と語り終へ〉だが、秋夕焼はつまり西方浄土であり、幽明境を異にする懐かしい人を偲んだ句だとして共感を得たようだ。また最高得点句は〈鳴き砂と戯れをれば帰燕かな〉は、石川啄木の歌を連想するなど句がきれい過ぎるとも評された。
特選句の〈宿題の自由研究つくつくし〉は、子どもが自由に考える宿題が与えられたが、つくつく法師が鳴く夏の終りになっても手つかずのままという景が目に見え、オリジナリティのある句と評された。
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当日の選句結果は以下の通り。カッコ内は選句者名。特選句は◎で表記。
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眼鏡拭く秋夕焼と語り終へ―――川俣あけみ(川面◎、又木◎、宮地◎)
木々の葉のそよぐ光に秋の影―――川面忠男(長張◎、松井◎)
主治医より手書きの文や秋澄めり―――川俣あけみ(白井◎、又木、宮地)
宿題の自由研究つくつくし―――又木淳一(川俣◎)
鳴き砂と戯れをれば帰燕かな―――川俣あけみ(川面、白井、辻野、又木、宮地)
ふくよかにひそかに落つる芙蓉かな―――又木淳一(川面、白井、松井)
唇(くち)赤き子規の自画像鶏頭花―――川俣あけみ(川面、辻野、又木)
じっと吾を上目遣ひに見る蝗―――松井秋尚(白井、辻野、長張)
折れてなほ天を目指すや秋桜―――宮地麗子(長張、松井)
店先の鉢のかぼすや酒処―――宮地麗子(川俣、長張)
野分前浅瀬の鷺の脚運び―――宮地麗子(辻野、松井)
秋彼岸延ばし延ばしの墓じまひ―――宮地麗子(川俣、松井)
庭石に色なき風や日の名残り―――辻野多都子(宮地)
幽かなる虫の鼓動や閨のやみ―――辻野多都子(川面)
若きらの竹刀の音や虫時雨―――川面忠男(白井)
うら恋し月に考妣の影見れば―――又木淳一(辻野)
秋風の揺らす池面の樹々の影―――松井秋尚(長張)
釣果さばく関孫六涼新た―――川俣あけみ(又木)
杭打ちのどすんと腹に南洲忌―――又木淳一(辻野)
甘やかな家を出でよと秋風鈴―――辻野多都子(宮地)
通せんぼするやうに立つ案山子かな―――松井秋尚(川俣)
山小屋へ荷を降ろすヘリ天高し―――川面忠男(川俣)
(文責・川面)