第121回俳句同好会
多摩稲門会のサークル「俳句同好会」の令和6年初句会が1月19日午後、多摩市の関戸公民館和室で開かれ、メンバーの8人全員が出席した。当日が第121回目、活動を開始して以来11年目に入った。
それを機会に句会の進め方を改めてゆくことにした。従来は当期雑詠句だけだったが、あらかじめ季語を与えて作る兼題句を2句とし、投句の5句のうち少なくともそれぞれ1句を作ることにした。当日の兼題は「初夢」と「雑炊」。新年の季語だが、他にも新年の季語を斡旋した当季雑詠句が少なくなかった。「初硯」、「初句会」、「去年今年」、「初日」、「初伊勢」といった季語の句だ。新年ならではの句であり、句会が華やぐ感じになった。
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選句結果は以下の通り。カッコ内は選句者名、特選は◎で表記。
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初硯考の凹みへ二三滴 ―――川俣あけみ(松井◎、宮地◎、辻野)
子供等の古武道の声鳥総松―――川俣あけみ(又木◎、白井、松井、宮地)
母逝けり冬至の曙光確かめつ―――又木淳一(川俣◎、白井、松井)
戦争を知る人ひとり初句会―――又木淳一(川面◎,宮地)
初夢や意気込みて目は冴えに冴え―――宮地麗子(長張◎)
この星のいのち育む枯野かな―――宮地麗子(辻野◎)
初夢のシルクロードや駱駝の背―――川面忠男(川俣、辻野、又木)
悴むやつなぎたき手の在りし日も―――宮地麗子(川面、川俣、又木)
初夢や吉凶軽き齢となり―――辻野多都子(川俣、長張)
良き事に変はる想ひ出日向ぼこ―――宮地麗子(白井、松井)
冬麗や木目確かめ仏彫る―――川俣あけみ(又木、松井)
構へずに静かに行かむ去年今年―――松井秋尚(長張、宮地)
年越しに退院の友声はづむ―――川面忠男(白井)
初夢に寅さんさくらマドンナも―――又木淳一(川面)
紅少し付けたる母や初寝覚―――川俣あけみ(又木)
雑炊や同胞集ふ日の在りし―――又木淳一(川俣)
星ひとつ残れる空に初日待つ―――松井秋尚(長張)
箸先に具を確かむる牡蠣雑炊―――長張紘一(辻野)
残されて少し幸せ松飾 ――― 辻野多都子 ( 宮地 )
庭木の丈低く詰めたり年の暮 ――― 長張紘一(白井)
初伊勢の凶事重なるテレビかな―――辻野多都子(川面)
匂ひ来るお国ことばや初電話―――又木淳一(辻野)
受難者を助けて上げて福寿草―――白井昭男(川面)
震災を忘れらるるや去年今年―――川面忠男(長張)
(文責・川面)