第135回俳句同好会
多摩稲門会のサークル「俳句同好会」は3月21日、多摩市関戸の公民館和室で第135回目の句会を開いた。当日の兼題は「桜」と「菜の花」で7人が出席して5句を投句、1人が欠席したものの投句は世話人に託していたので40句が揃った。これらの中から特選1句を含み5句を選んだが、22句が選に入った。
選句結果が披講担当者から発表された後、いつもの通り作者が名乗らないまま合評となった。作者に忖度しないで意見を述べ合うためだ。一例が〈菜の花忌龍馬ゆかりの人の秘話〉という句だが、菜の花忌は作家の司馬遼太郎の忌日であり、司馬は坂本龍馬を主人公にした小説「竜馬がゆく」を著している。それで菜の花忌と龍馬は即(つきすぎ)と評された。その後で作者が名乗り、小説の虚実について知ることを語り釈明した。
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選句結果は以下の通り。カッコ内は選句者名(特選は◎で表記)。
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啄木も見しか病窓の春の雲―――辻野多都子(富山◎、白井)
春の猫赤信号を渡りけり―――川面忠男(川俣◎、又木)
金槐集閉ぢて聴きいる春の雨―――富山珠恵(又木◎、川俣)
何もかも皆飲み込んで三月尽―――又木淳一(宮地◎)
人去にて桜蕊降る更地かな―――富山珠恵(長張◎)
春愁の雨降り続く奄美かな―――宮地麗子(川面◎)
木彫仏つつむ諸手に寄る子猫―――川俣あけみ(川面、長張、又木)
菜の花の北に鉄橋奥に塔―――川面忠男(川俣、富山、長張)
白木蓮仰げば風にユーミン歌―――又木淳一(川面、川俣)
ミニバスのすれ違ふ丘春夕焼―――長張紘一(白井、宮地)
遍路して亡夫(つま)の名書きし日々遥か―辻野多都子(又木、宮地)
雨後の里籠一杯の蕗の薹―――長張紘一(川面、宮地)
沈丁の一枝と夜の黙(しじま)かな―――富山珠恵(川俣、宮地)
菜の花や一両だけのいすみ線―――宮地麗子(白井、富山)
菜の花忌龍馬ゆかりの人の秘話―――川面忠男(富山)
花菜畑土手まで伸びて空映ゆる―――長張紘一(川面)
菜花咲き畑は虻の羽音のみ―――富山珠恵(長張)
気負ひなき八十路の節目三月来―――長張紘一(又木)
酔眼に春満月の家路かな―――川面忠男(長張)
廃校に精一杯の花菜かな―――又木淳一(白井)
満開の河津桜の土手長し―――川面忠男(白井)
菜の花に潮の籠り音伊豆の朝―――川俣あけみ(富山)
(文責・川面)