第136回俳句同好会
多摩稲門会のサークル「俳句同好会」は4月18日、多摩市関戸の公民館和室で第136回目の句会を開いた。当日の兼題は「春の風」と「土筆」。メンバーの全員、9人が出席して5句ずつ投句、45句が揃った。これらの中から特選1句を含み5句を選んだが、選句は23句と投句の半数以上になった。
季節は晩春、桜の花が散った後、蕚に残った蕊が散って落ちる〈桜蕊降る〉という季語の句が最高点句になった。そして〈飛花落花〉という季語の句が次いだ。
合評で鑑賞がプラスマイナスに分れる句も少なくない。選句されたものの句評に応えて直し成句としたものがある。それらは以下の掲載句の中でも6句を数える。
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選句結果は以下の通り。カッコ内は選句者名(特選は◎で表記)。
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桜蕊我が科(とが)責むるやうに降る―川俣あけみ(辻野◎、又木◎、長張)
飛花落花つきし車窓の暗き貌―――辻野多都子(富山◎、長張◎)
春風やボタン外せば鳥のごと―川俣あけみ(宮地◎、又木、松井)
春惜しむ葉擦れの音のふくらみて―――宮地麗子(松井◎、川面)
霾や日出づる国の定めとて―――又木淳一(川面◎、宮地)
この辺りと今年も探す土筆かな―――松井秋尚(白井、長張、宮地)
渡し舟戻る間のつくしんぼ―――川俣あけみ(川面、辻野、松井)
閉店の貼り紙古し花馬酔木―――宮地麗子(川俣、白井)
街路樹の狭き隙間につくづくし―――長張紘一(川面、松井)
初柏買ひて子去りし家路かな―――辻野多都子(富山、宮地)
吉野川へ二輪走らせ摘む土筆―――川面忠男(富山、長張)
亡夫(つま)と見し楊貴妃桜京の宿―――辻野多都子(川俣、富山)
綿菓子のやうな雲浮く春の空―――富山珠恵(白井、辻野)
一本を見つけ次々つくしんぼ―――松井秋尚(川俣、長張)
蜘蛛の囲のゆれつづけゐる遅日かな―――富山珠恵(辻野、又木)
テノールの余韻しばらく春の風 ―――川面忠男(又木)
つくづくし倫理社会は二時間目―――又木淳一(富山)
外(と)へ出でし一歩を包む春の風―――松井秋尚(川俣)
地震多き国に生まれて土筆摘む―――川俣あけみ(宮地)
春風の冷たき宵の友の嘘―――富山珠恵(辻野)
今朝積もり暮には消ゆる春の雪―――長張紘一(松井)
花冷や出アフリカの我等が祖―――川俣あけみ(又木)
春風にランドセルの子頭下げ――― 長張紘一(白井)
沈丁や一枝の香る夜の静寂 ―――富山珠恵(白井)
桜蕊降る側道を救急車 ―――又木淳一(川俣)
墨堤の漫ろそぞろの花万朶―――又木淳一(川面)
(文責・川面)