第140回俳句同好会
多摩稲門会のサークル「俳句同好会」の第140回目の句会が8月15日、多摩市関戸の公民館和室で開かれた。兼題の一つは当日が終戦記念日とあって「敗戦忌」、それに「桃」、9人が出席し、5句ずつ投句と選句を行った。欠席した1人も投句を世話人に託し50句が揃ったが、そのうち25句が選に入り、投句はちょうど半分が選句された句会となった。
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選句結果は以下の通り。カッコ内は選句者名(特選は◎で表記)。
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ジャズ喫茶のコーヒー苦き終戦日―――澤本登代子(川面◎、松井◎、川俣、富山)
無言館の供養の筆や処暑の風―――澤本登代子(川俣◎、川面、宮地)
万博にあふるる人や終戦忌―――川俣あけみ(白井◎、澤本)
かぶり付く桃の香の汁垂るるまま―――松井秋尚(長張◎)
荷造りを止めてかなかな聞きにけり―――川俣あけみ(川面、辻野、白井、松井、宮地)
一玉の桃のスケッチ産毛まで―又木淳一(澤本、白井、長張、松井)
桃の皮のするりと剥けて孤独―――宮地麗子(辻野、澤本、長張)
骨揚げを待つ一隅の白桔梗―――川俣あけみ(川面、富山、宮地)
コーヒーにバーガーの朝敗戦忌―――宮地麗子(川俣、白井)
敗戦日の拡声器音ハウリング―――川面忠男(富山、松井)
小分けする薬多彩や秋暑し―――又木淳一(川面、澤本)
風鈴の硝子にごりて秋初め―――富山珠恵(辻野)
墓洗ふけんかしたことよぎりけり―――澤本登代子(白井)
たぎりたつ紅茶の湯気や敗戦忌―――辻野多都子(川俣)
諍わずメメントモリと胡瓜揉む ―――辻野多都子(宮地)
文月や出さぬ手紙に来ぬ手紙―――宮地麗子(松井)
去る家の終の八月十五日―――川俣あけみ(辻野)
赤のまま乾ききる陽に色褪せず―――澤本登代子(長張)
桃一顆あまき匂ひの持ち重り―――富山珠恵(宮地)
髭を剃り披講厳か終戦忌―――又木淳一(辻野)
バッタ飛び掌にのこされし糞ひとつ―――富山珠恵(長張)
桃食めば三鬼想はる夜の底―――辻野多都子(富山)
踊りの輪入れぬままに帰りけり―――宮地麗子(澤本)
我が歳と同じ歩みや終戦忌―――松井秋尚(川俣)
寂しさは白朝顔の小顔かな―――辻野多都子(富山)
(文責・川面)