第141回俳句同好会
多摩稲門会のサークル「俳句同好会」の第141回目の句会が9月19日、多摩市関戸の公民館和室で開かれた。兼題は「萩」と「鰯雲」。メンバーの10人が揃って参加、5句ずつ投句と選句を行った。当日は残暑が和らぎ、秋の季節を感じながら秋が季語の句を鑑賞できた。
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選句結果は以下の通り。カッコ内は選句者名(特選は◎で表記)。
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今日ひと日わが身自由よ鰯雲――宮地麗子(長張◎、松井◎、又木)
白萩を風ごと括り別れとす―――川俣あけみ(宮地◎、富山、長張)
神の掃く箒の跡か鰯雲 ―――富山珠恵(川面◎、長張、又木)
子の去りて広き我が家よ鰯雲―――辻野多都子(富山◎、川面)
知る辺なき故郷の墓地いわし雲―――川面忠男(又木◎、松井)
迷ふことばかりの道や鰯雲―――松井秋尚(澤本◎)
空高し背すじ伸ばして乗るポニー―――宮地麗子(川俣◎)
迷ひ買ふ紅きルージュや敬老日――澤本登代子(川俣、白井、辻野、宮地)
人影の消えし砂浜鰯雲 ―――松井秋尚(白井、富山、又木)
蟻の列道に白萩こぼれをり―――富山珠恵(澤本、辻野、長張)
ガザの地もかくあらまほし花野原―――又木淳一(川面、富山)
いわし雲に紛れ込みたき旅日和―――川俣あけみ(澤本、松井)
秋風裡もろ手に余るほどの供花 ―――川俣あけみ(澤本、宮地)
雨上がり掃くをためらふこぼれ萩―――松井秋尚(長張、宮地)
久闊の友と二人や萩の宿―――又木淳一(富山、松井)
亡夫の名の卒業証書秋の声―――川俣あけみ(川面、辻野)
秋深む褻に倦むわれの胃の痛み―――富山珠恵(辻野)
遠き日の足傷の痕いわし雲―――川面忠男(白井)
萩咲いて琴の音の添ふ野草園―――川面忠男(澤本)
白粉花崖に揃ひて夕陽受く―――辻野多都子(川面)
鶏頭の終の力や種抱ふ ―――澤本登代子(川俣)
一心不乱暑さ忘るる竹細工―――長張紘一(白井)
光差す萩のトンネル抜けて寺 ―――川面忠男(松井)
灼熱の地這ふ蟷螂翅ひろげ―――長張紘一(辻野)
図書館の蔵書のあひの涼しさよ―――富山珠恵(又木)
頻繁に水面をたたく麦蜻蛉―――長張紘一(白井)
萩散るや馬籠の宿の石畳―――宮地麗子(川俣)
比類なき藍の深さよ秋刀魚買ふ―――富山珠恵(宮地)
火の国の五岳一望鰯雲 ―――又木淳一(川俣)
(文責・川面)