第144回俳句同好会
多摩稲門会のサークル「俳句同好会」の句会が12月19日午後、多摩市関戸の公民館和室で開かれ9人が出席した。兼題は「短日」と「山眠る」。投句は当期雑詠句と合せ5句ずつで45句が揃った。選句も5句ずつで半数以上の26句が選に入った。
最高点句は〈牡蠣むけば命のひかり残りゐる〉で〈命のひかり〉という措辞が詩情を高めたと評された。続く〈数え日や妻の配下の一人なる〉は笑いを誘う諧謔の句として選句された。
当日の句会は第144回目、12年続いたことになる。句会終了後は7人が最寄りの鮨店に移動し、忘年会を兼ねた懇親会となった。
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選句結果は以下の通り。カッコ内は選句者名(特選は◎で表記)。
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牡蠣むけば命のひかり残りゐる ― 富山珠恵(又木◎、川面、澤本、宮地)
数へ日や妻の配下の一人なる ― 又木淳一(松井◎、澤本、辻野)
年忘れ今浦島の渋谷かな ――― 又木淳一(長張◎、辻野、松井)
明日香路の西の山々暮早し ――― 川面忠男(富山◎、又木)
短日のひかりを撥ねて野良猫(のら)の背―――富山珠恵(宮地◎、又木)
ロボツトを仲間に入れて年忘―――川面忠男(澤本◎)
興福寺
出稼ぎの阿修羅戻りぬ寒日和―――辻野多都子(川面、富山、又木、宮地)
走り根の傷ある瘤や山眠る―――又木淳一(辻野、富山、宮地)
水の音風の音聞き山眠る―――松井秋尚(白井、長張)
山眠る獣は街に現(あ)れにけり―――川面忠男(澤本、辻野)
本堂に絵のごと積まる冬林檎―――澤本登代子(白井、長張)
忙しさに追はれ煽られ日短―――松井秋尚(白井、富山)
枯れすすむメタセコイアは天の鉾―――辻野多都子(長張、又木)
短日や何度も時計見る日暮―――宮地麗子(白井、松井)
鮟鱇の歯をむき出して吊られをり―――富山珠恵(白井、長張)
好き嫌ひ言ふ人無くて葱づくし―――宮地麗子(澤本、松井)
本筋に戻す議論や暮早し―――又木淳一(宮地)
口紅に欲しきや今日の冬紅葉―――宮地麗子(辻野)
熊も出ず地震火事なく山眠る―――白井昭男(川面)
浮寝鳥生きぬく術を知るごとし―――澤本登代子(川面)
草や樹もまた億年の山眠る―――長張紘一(富山)
声高き異国語減るや山眠る―――宮地麗子(川面)
山眠るさまざまなこと忘れ去り―――川面忠男(松井)
(文責・川面)

















