2010.11(第117回) 茅ヶ岳
茅ヶ岳への同じコースは2年前の3月に開催されている。その日は天気に恵まれ、頂上からの全方位のパノラマに一同感動したものであった。今日の天気はどうなるか。週間の予報では今日だけの天気はあまり芳しくなかった。ところが夜明けから星が冴え快晴の空が広がってきた。半分諦めていた山歩きが実現することになった。
前回と同じあずさ3号で9時過ぎに韮崎駅に着いた。ここで宇田川さんと合流することになっていたが急用のため不参加との連絡が入った。今回のメンバーは川俣さん・柴田さん・金子さん・長張の4名となった。
日本百名山の深谷久弥の碑がある公園には、かなりスピードを出し続けたタクシーで10時少し前に到着した。川俣さんは始めての場所である。駐車場には既に30台近い車が駐車しているが、登山者は見あたらなかった。
登山口から葉の落ちた落葉樹に、落葉松が混じる林の中を緩やかに登って行く。歩く山道は落葉松の赤茶けた楊枝の先のような松葉が深く積もっており、それを蹴散らしながら進む。日常的でない感動を川俣さんに一句お願いした。早速、二句
「落葉松の落ち葉踏みしめ久弥の碑」
「落葉踏む深田久弥の逝きし山」
金子さんから「入日射す石の上なる唐松葉」
雲一つない青空に風もない小春日和の静かな登山となった。緩やかな上りは女岩まで1時間、ここで小休止をとる。
大きな岩の隙間から清水が流れ飲水となっている。置いてあるコップで喉を潤すが無味であるのが旨い水なのであろう。女岩を大きく回りこみ一気に登りが続く。落葉樹の葉がすっかり落ち、山道まで陽が射す明るい斜面は多少乾燥気味の枯葉が積もっている。紅葉の葉は稀にしかなかった。北側の尾根筋に出ると視界は開け、目の前に金峰山や朝日岳・大弛峠・国師ガ岳・北奥千丈岳が現れた。金峰山の五丈岩の塊りも確認できる。
久弥終焉の碑を過ぎると、最後の急登だ。岩場の尾根を手で伝いながらの登りである。茅ガ岳の頂上に12時に着いた。多くの登山者が360°のパノラマを楽しんでいた。富士山は前回の時より大きく見えた。逆に南アルプスの峰々は何故か遠くに感じた。山頂の樹木は低く刈られ見晴は前回の時より良くなったように思える。
山頂での記念写真は甲斐駒ケ岳をバックに入れたかったが、私の影に隠れてしまった。北アルプス方面は雲がかかっている。
北西方向の双耳峰である金ガ岳の背後には八ヶ岳連峰が構えている。左から横岳・赤岳・阿弥陀岳・権現岳・網笠山と続く。山頂で1時間ほどのんびり景色を楽しんだ後、隣の金ガ岳に向った。金ガ岳には100mの急勾配を下りまた上る。大きな岩の露呈した道を登って行く。巨岩が傾き隣の岩に倒れた下は空洞となり、石門として登山道が続いている。金ガ岳は北峰・南峰のピークがあり、茅ガ岳と合わせて山頂は八ヶ岳と似ている。山頂は茅ガ岳より60m程標高は高い。しかし、茅ガ岳に知名度は奪われている。一時間弱で到着した。
昼食をとった茅ガ岳の山頂にいる登山者が確認できる。
茅ガ岳の背後に富士が聳えていた。茅ヶ岳は日本列島の昔の裂け目の平らな部分であった場所に、次々に噴火が起り、八ヶ岳・浅間山や富士山などの噴火による山の仲間である。大小はあるが、どの山も周囲は開けている独立峰である。低くなった日差しは葉のない梢越しに眩しく目に入ってくる。爆裂火口跡の尾根筋にあった路は、崩落のため迂回されていた。3時半過ぎ明野ふれあいの里に着き、タクシーで韮崎駅に戻り、「あずさ」特急に乗り込んだ。車中で来年の山歩きのコースを決め立川駅下車、何時もの居酒屋「味工房」に向かう。マスターは、稲城稲門会の飯島さんの隣に住まわれる。マスターのご挨拶で出迎えてくれた。生ビールで乾杯し、歓談の場も楽しむことができた。 長張 記