2010.07(第114回) 大洞山・三国山
昨年の10月は山中湖の北側にある石割山を、富士山の雄姿を間近に見ながらハイキングが楽しめた。今日のコースは湖の南側のコースとなる。湖畔の旭丘バス停を降り徒歩開始。国道の坂を進む。籠坂峠にある登山口は、国道からそれた墓地の裏側にあった。熊よけの柵を過ぎると静かな山路が続いている。
今日のメンバーは川俣さん・橋本さん・宇田川さん・山岸さん・金子さん・長張の6名である。宇田川さんとは湖畔の旭丘のバス停で待ち合わせた。山岸さんは中央線事故で一つ後の電車で追うことになったが、籠坂峠までのバスに乗り我々より数分早く着きそこで一同集合となった。
最初のピークの畑尾山まで30分ほど、火山の黒い礫が積もった道でザクザクと音を出しながら登って行く。静岡県と山梨県の県境の静かな路である。東京近辺の山のぬかるんだ泥の路ではない。それに杉や檜で植林された森ではなく、自然の落葉樹林で覆われて実に気持ちの良いハイキングを楽しめる。今年の関東地方の梅雨入りは例年よりは少し遅いそうであったが、充分過ぎるほど雨天が続き、6月の例会は天候不順のため中止された。九州や中国地方には甚大な被害をもたらせている。関東地方は都内でゲリラ豪雨のため石神井川が氾濫した。梅雨明け宣言はまだ出ていなかったが、今週末からやっと晴れの日が続くようになり、帰宅後夕刊をみると日本列島の大部分の地域が今日、梅雨明けしたとの記事が大きく掲載されていた。
大洞山には丁度12時に到着した。今日の最高ピークであるが、樹木で視界がきかず次のピーク三国山まで小1時間、足を延ばすことにした。尾根路に咲く独特の臭いのあるコバイケソウの株の間を縫うように進む。
三国山も樹木で覆われてはいたが、植林された杉や檜の森ではないので、葉陰のすき間から視界はきいている。涼しい風が流れている。途中追い越した3人の女性グループも到着し、昼食に加わった。南側の下裾野にある富士スピードウェイで疾走する車のエンジン音が聞こえていた。何種類かの蝉の鳴き声も辺りから聞こえてくる。
三国峠への下りは急斜面である。この一帯も富士の火山礫である。その上にブナが育ち大木が目立つ場所である。クマザサのすき間を抜けると車道に出た。ここが三国峠である。車道を横切り今度は急斜面を登る。
峠からは開けたカヤトの草原を登って行く。頂上が「鉄砲の木の頭」の呼ばれる木のない大展望のピークである。一番高い場所に山中諏訪神社奥宮がある。この上に立つと更に視野が開ける。山中湖・富士の大きな裾野・箱根連山や湖を挟む石割山の連山が目の前に続く。
東の方から道志山塊が湖の北側で終わる。そして今日のコースであるが、丹沢山塊から湖の南側にそれぞれ裾野を延ばし、西側からは富士の裾野が迫り、挟まれた窪地に山中湖が生まれたと素人目にも推測できるが、富士が成長するにつれ、山中湖とその北に位置する忍野八海を一つにした湖も次第に押しやられ今の姿となったらしい。山中湖の水は南側の山並みにさえぎられ最短距離の駿河湾には注がれず、大きく迂回しながら相模湾に達している。
富士の雄姿は手前の雲の帯で隠れている。雪のない頂が少し見えていた。ここから三国山ハイキングコース入口バス停方向へカトヤの草原を下る。バスの到着には1時間もあり、平野バス停まで湖岸の遊歩道を歩くことになった。
さだまさしのライブ公演が行われていた。野外コンサートの脇の近道を通してもらった。大勢の観客がこちらに向って見ている様な錯覚を覚える。スピーカーから流れる彼の歌声が何時までも聞こえていた。平野からバスで富士吉田駅に向った。
富士吉田の駅舎の中にある居酒屋で恒例の生ビールで乾杯。ここで宇田川さんと別れた。駅ホームで裾野まで広がる富士がわれわれを見送ってくれていた。途中、車窓から三つ峠の夕日の中シルエットも心象深かった。 長張 記