2010.02(第111回) 武川岳・二子山
忘れていた冬の寒さが思い起こされる日がここ一週間以上続いていた。一昨日も関東全体に降雪があり、残雪の中のハイキングが期待できる。それにまた、雲一つない快晴に恵まれた。
今日は秩父の手前にある奥武蔵の武川岳である。武川岳は、武甲山と大持山と正三角形に位置している。多摩市からも晴れた空気の澄んだ日には武川岳を一番右に等間隔に並んでいるのが眺められる。今日の参加者は、山岸さん・金子さん長張の3名であった。
関東近辺の夏のハイキングは暑さに辟易する。むしろ真冬のハイキングは汗もかかず、空気も澄んだ展望の期待は大きいところである。8時48分の東飯能駅から名郷行きバスに乗り込んだ。終点名郷バス停で降りたのは複数の登山客であったが、天狗岩コースは我々だけだった。他は、妻坂峠、山伏峠に向かったらしい。
急勾配の車道を暫く進むと天狗岩への登山道が見つかった。今日のコースは全員始めてのコースであり地理に自信があるわけではない。武川岳までの尾根筋のコースは一般的ではない健脚向けコースである。このコースの最大の難所といわれているところが天狗岩である。これは広い範囲の総称で50mほどの高さの岩山を這い登りながらの登山であった。
雪は一昨日の残雪が主であると思うが、高度が増すにしたがってアイゼンを着けるほどではないが量が多くなってくる。前武川岳で別のルートの登山者に始めて出会った。ここから10分ほど武川岳山頂に12時に到着した。山頂は広くなだらかで所で、一面雪に覆われている。いくつかあるベンチは既に先客があり、隅の比較的平らな場所で昼食をとることになった。
山頂の北側からは、冬の梢越しに隣の武甲山が見えており山の裏側が削られ、斜面が階段状になりフェンスに囲われてる姿が確認できる。南側には普段見ている奥多摩の大岳山の逆の格好の頂を望むことができた。金子さんの簡易コンロで暖かいおでんのご馳走を皆で囲むことができた。何時もこの時期の冷え切った食事後の体は、今日は何となく温かく感じた。
武川岳の下山コースは、北斜面で残雪は深くなり、滑り落ちるように下っていく。アイゼンはまだ着けず慎重に下って行く。それでも油断すると転倒すること数度。落葉樹に覆われた尾根道のアップダウンを繰り返す。季節が変われば見晴のきかない尾根歩きかも知れない。
鳶岩山・焼山・二子山のコースは、梢越しに武甲山を眺めながら遠巻きに廻るコースである。今の季節は都度全容が見られるが、葉が茂ってくる季節には隠れてしまうのではないかと思う。徐々に頂きまで削られてゆく北斜面の無残な武甲山の痛々しい姿が、間近に眺めることができる場所が焼山である。1時40分に辿り着いた。
焼山山頂は立ち木が刈られ、展望がきく絶景スポットである。武甲山の右に望める両神山の特異な山容が登高意欲をそそる。眼下に秩父の街並みが広がり、市街の上の山なみの遥か彼方に、雪をかぶった浅間山の山頂が顔を見せていた。
焼山から更に二子山(雌岳)・雄岳へのアップダウンが待っている。下りも急傾斜となり途中からアイゼンを装着して雪の道を進む。
このコースで、中年を過ぎた女性単身の登山者と二、三出会う。慣れた人には気軽なハイキングコースなのであろう。しかし、我々にとっては、案内板が少ない上に、幾つかの山頂の名前がハッキリせず、案内にあるコースタイムも疑いたくなっている。下山後始めて確定する始末であった。
2時45分雌岳に辿り着いた。そこは木々に覆われた暗い場所であり、そこから尾根コースと沢に下るコースに分岐する。我々は下り一方の沢コースを選び芦ヶ久保駅まで、4時に駅前にある立派な道の駅に入り、生ビールで一先ず乾杯した。更に八王子に出て飲み直した。始めてのコースであり、風のない天気に恵まれ、やや健脚向きではあったが静かな雪のハイキングの今日の成果を語り合った。 長張 記