2010.01(第110回) 金時山
今年最初の山歩きは、箱根金時山である。4年ほど前に同じコース歩いている。今日の参加者は、その時の川俣さん・宇田川さん・金子さんと、伊藤さん・柴田さん・山岸さん・長張の7名である。山中湖畔在住の宇田川さんとは新松田で落ち合い、予定した8時40分の地蔵峠行きバスで全員集合となった。
バスは30分ほどで終点地蔵峠に着いた。数組の登山客が目的のルートを辿るが、我々は右の足柄道を登り足柄峠へと向う。ここから目指す金時山が見えている。距離も標高差も大分あるように見えるが、天気は良さそうであった。
金時山は箱根山の外輪山のなかで最も高い山と云われているが、正確には外輪山ではなく古箱根火山の寄生火山とのこと。そんな事はどうでもよいことであるが、要するに他の外輪山とは異なった特徴的な山容であることらしい。猪鼻岳とも呼ばれているが、どの方向から見るか解らないが、容が似ているとは思えない。これら地質に関する話は、問わずとも伊藤さんから資料付で詳しく生の講義があることは想定でき、またそれもハイキング時の楽しみの一つでもある。
足柄古道は、九十九折になった車道に分断されながら最短距離で登るルートで、足柄路とも呼ばれている。案内板には、奈良時代の官道で東西を結ぶ重要な要路として機能していたと説明書きがあった。
1時間半ほどで足柄峠、旧関所跡に着いた。足柄峠からの眺望は、富士の左右の裾野下まで大きく広げた絶景であるのだが、肝心の富士山は裾野まで雲に覆われている。2・3日前に降った残雪は思ったほど少ないが、高度が上がるにしたがって目立つようになってきた。
雪が覆い多少凍っているが、まだアイゼンを着ける程ではない。峠からはなだらかな広い道を進んでゆく。金時山に運ぶ物資の輸送路でもあった。春になれば道両脇に色々な草花が楽しめるはずである。
金時山を仰ぎ見る鳥居を潜る辺りから、最後の急坂が始まる。高度差200メートルだ。落葉樹の間から見通せる景色は開けてきた。各所に架けられたアルミ製の階段をひたすら登る。頭上には何本かのケーブルが敷かれ、山頂の小屋まで物資を運ぶ箱が、鳥の鳴き声のような擦れる音を出しながら上がってゆく。中の食材が見えていた。
山頂には2軒の茶店、その一つ右側に構える金時娘の「金時茶屋」である。大勢の客が食事中だった。我々も空いた場所で食事を摂った。
テーブルの半分を確保し3人で食事を始めた。雪が散らつくほどの寒さで、登山中に脱いでいたブレーカーを着直した。小屋の親父が出てきて、我々の前で暖かいラーメンの食事を採っていた若いカップルを叱っていた。簡易コンロを使うことは店の営業上止めてくれと云っている。片方の店ではなにも言わないのに、もう片方は大変不愉快な思いをしたと事前情報は聞いていたが、この事かと思い出した。
金太郎のまさかりを掲げて、先程の若いカップルに記念写真撮りを頼んだ。山頂から、芦ノ湖方面の景色は多少霞んでいたが、湖に陽の光が反射して輝いている。手前の裾野には幾つかのゴルフ場が重なり、隣の明神が岳や駒ケ岳が聳え、風が弱いのか大涌谷の湯煙が真っ直ぐ昇っているのが眺望できる。
頂上直下は急坂であり雪が着いている。用心のためもあり軽アイゼンを装着。下山するにつれ雪は溶けぬかるみと化し、尻餅でもついたら最悪である。箱根の山は、奥多摩のとは趣が違う。火山であることと、気候の温暖が理由なのかも知れない。街並みが比較的近くに望め気軽なコースである。一時間ほどで仙石原に着き、御殿場へのバスで帰る宇田川さんと別れ、我々は小田原行きに乗る。小田原駅ビルで山岸さんの昔の行きつけの所、しかも3時過ぎに開いている魚の旨い居酒屋を案内されビールで乾杯。山歩きの会も15周年を迎え、悠々の会と合同で、記念誌造りに鋭意努力中の状況。発行は1月末から少し遅れる。ご容赦を。 長張 記