2008.08(特別企画) 甲斐駒ヶ岳
「山歩きの会」で、南アルプスの名峰「甲斐駒ケ岳」に登るチャンスに恵まれるとは思ってもみなかった。一年ほど前から川面さんから『「甲斐駒」に登ることができれば一生悔いるものはない』と提案され準備されてきた。今回の参加者は金子さん・鈴木さん・川面さん・依田さん・多摩稲門会メンバーではないが、金子さんの郷里の友人である木村さん・長張の6名となる。
初日は、甲府駅着11時27分、駅前から広河原経由でバスを乗り継ぎ、2時40分過ぎに北沢峠着いた。当日はここからが徒歩開始となり、1時間ほどで仙水小屋に着き、ここで宿泊することになる。山小屋は都会にある工事現場の事務所と同じであった。2階の部屋が与えられた寝場所である。一人分のスペースは一畳ほどあり、手足を伸ばして眠ることができそうである。夕食は戸外に用意され、4時半には一斉に食事がはじまった。木村さんから地元の「越乃寒梅」の差し入れ等、持参したご馳走で歓談の時を過ごしたが、他の客は早々に引き上げてしまったので、一同就寝することになった。7時前である。
翌朝、徒歩開始して2時間半ほどの駒津峰からの尾根筋を進んでいる。
更に一時間ほど上り続ける巻き道の途中である。山肌はむき出しになり草木はない。岩肌の表面は風化しもろくなり、靴で擦ると削ることができるが、意外と滑りにくい花崗岩の岩山である。好天に恵まれ空は真っ青で白い山肌とマッチしている。
山頂近くになると富士の位置が、鳳凰三山の右裾から真上になってきた。摩利支天の頂きも見下ろす高さになっている。まだ朝の8時半前で何時もの山歩きの時間帯とは、3・4時間前倒しされており、時間のゆとりは十分にある。
山頂には8時半到着し、軽量のパンで早やめの昼食をとる。
山頂での集合写真の背景は、北岳・間ノ岳・塩見岳などで南アルプスを串刺しするように見通せる。山頂は広く大勢の登山客で賑わっていた。360度の展望は遮るものはなく、北・中央アルプスの連山や、八ヶ岳連山がたなびく雲海の上に突き出ている。隣の仙丈ヶ岳は大きく左右に山裾を広げて目前に雄大に構えている。頂の一部以外は緑の肌で覆われており、男性的といわれる力士のような肌を出した甲斐駒とは相対していた。
9時半には下山に入る。花崗岩の砂礫の山肌をゆっくり下る。
六方石から駒津峰辺りはハエマツの潅木で覆われている。登る時の駒津峰からの薄白かった朝の山容とは違い、3時間後の白い岩肌が陽に照らされた別の姿を見ることができた。
上った時と同じガレ場の道を下る。ハエマツの潅木から森林限界に入り森の中に入ると、甲斐駒の姿は見えなくなり、樹木の間から見える摩利支天がより大きく威圧するように迫ってきた。甲斐駒の中腹に超大なコブが貼りついたような姿は、一度見たら忘れることができない。1時過ぎに仙水小屋に着き、預けていた荷物をまとめ北沢峠まで疲れた足でさらに下山した。峠には既に大勢の帰路を待つ登山客で溢れていた。1時間半ほどバスを待ち広河原から乗合タクシーで甲府駅まで、6時過ぎの列車で八王子駅に向った。念願を達成し満足した顔は、一同真っ赤に日焼けしていた。一日良く頑張った。 長張 記