2012.09(第130回) 倉掛山
今年の夏の猛暑は、「例年になく心身ともにこたえた夏」であったと、毎年同じように感じる歳になってきた。今週、富士山に初冠雪が観測され例年より2週間ほど早いそうで、天気全てが温暖化の兆候ではないようだ。
立川駅8時47分発JRホリデー特別快速あきがわ3号の全員揃っての出だしは上手く行かず、20分程遅れて武藏五日市駅で集合することができた。バスのダイヤが接続しているか心配であったが、スムーズにバスに乗ることができた。満員のバスは終点まで50分乗り続ける間に次々と降りてゆき、僕らと一人の女性だけを乗せて山奥に進み終点藤倉に着いた。
今日のメンバーは櫻井和子さん・中川邦雄さん・川面忠男さん・橋本孜さん・金子宏二さん・長張紘一の6名である。強かった夏の日差しは東京の秘境であるここまで来ると多少弱まって風も涼しく感じる。車の行き来は極まれで1・2台の車に道を譲る程度である。アソファルトの整備された車道を進み高度を上げて行く。日陰の外気は涼しく感じるが、陽を遮るものがないところは暑く体力が消耗してくる。先行する金子さんは、何回か村の住民に道を尋ねながら風張峠に通ずる林道を辿る。それ程、このルートはガイドブックにも紹介が少なく、標識も全くないし、登山者もいない。
整備された林道は歩き易いが単調さと距離の長さで嫌気がさしてくる。高度1000m近くになると道端の野草も里山の草木とは変わってきた。開けた場所からの景色も変ってくる。
ツルニンジンは道に沿って何十mも群生し白いホウズキの様な蕾や開花した花が広がり、ソバナ・クサボタン・セキヤノアキチョウジは、青い花を咲かせている。
道は途切れることなく続いており、1時近くになり、倉岳山登山口標識前の最適な場所ではないが道端で食事をとることになった。
疲れた足も食事をして休むと少し楽になってきた。
倉掛山の頂の場所が解らないまま、食事をすませ登山道を上っていく。道の両側の草木は刈られ整備されていた。2.3分上がったところに頂があった。1時半少し過ぎに着いた頂は樹木に覆われていたが、北に笹尾根が望めた。
頂から先ほど食事をとった登山口まで下り、再び林道を進む。多段速ギアの自転車で登って行く人の姿以外ハイカーは見かけられない。
萩の紫色の花が斜面を覆い、道際まで垂れ下がっている。秋のまだ穂が開かないススキもあちこちに頭をだしている。見慣れている大岳山の形も近場では少し形が違っている。八王子方面には雲がわいていた。
武藏五日市から奥多摩湖に抜ける周遊道路はバイクで走るには気持ちの良い道路だそうである。爆音が間近に聞こえてきた。車道を渡ったところが風張峠である。ここから鞘口峠に向かう登山口を駐車場の奥に見つけ歩き続ける。今日初めての樹木で覆われた山道である。
結局風張峠まで山道は通れず、林道歩きを強いられた。舗装された林道歩きは話しながら歩けて良いが、何時もの細い山道での一列の行進はそれなりに気持ちが良いものである。
風張峠から鞘口峠までは40分、そこから下ること10分ほどで、都民の森バス停に3時半過ぎ到着した。中川さんは80才を間近に控え益々お元気で、櫻井さんはお歳の割には口数も合わせて元気、橋本さんは病気療養後の久し振りの山歩きにお疲れ気味。川面さんは涸沢の紅葉見物への足馴し、金子さんは何時ものハイペースの山歩き、それぞれ初秋の奥多摩を楽しむことができた。
4時の数馬行きの無料バスから乗り継いで武藏五日市まで一時間以上の行程は、東京ではかなり長いルートであり、シルバーパスを持っている方々のメリットは大きいものとなった。立川駅を下車し、居酒屋味工房の生ビールで喉を潤し、久しぶりの「山歩きの会」の一日が終わった。 長張 記