2011.04(第122回) 坪 山
2011年4月16日
昨年、ある山歩きの例会で川俣さんから坪山のイワウチワを是非とも見たいと云われていた。私もイワウチワは見たことがない。似たものでイワカガミがあるが、昨年白馬岳で鑑賞できた。イワウチワは花の色がそれより白いらしい。花の時期にタイミングが合えば良いのだが、今回のコースは、よほど花好きな人以外は訪れないそうである。
今日のメンバーは辻野さん・川俣さん・橋本さん・宇田川さん・金子さん・長張の6名となった。辻野さんの参加は、山岸さんが作成した山歩きの会データベースに基づくと、平成8、9年各年末参加以来3回目の参加となっている。記録前の山歩きを大先輩達と楽しまれた時期があったそうである。
高尾駅8時1分発普通列車に乗り上野原駅下車、ここで宇田川さんと合流し全員あわただしくバスに乗車する。
バスは思ったほど混んでいなかった。1時間ほどバスに揺られた後、他の 乗客と共に八ッ田バス停で下車し、御岳神社登山口から西ルートに入る。
東日本大震災の影響で3月の文化フォーラムは中止された。各サークルの活動も中止・延期されるなか、山歩きの会は3月も小規模ながらも開催された。永山駅から多摩センターまで満開の辛夷を見ながら散策し、パルテノンの催しを見学するコースであった。
一列になって進む山道から望めるバス道との高低差は中々広がらない。杉林から高度が上がるに従って檜林に変わってきた。
頂上に近づくにつれ山道は急坂となる。「ハイキングコースじゃない」との声も。 突然にイワウチワの可憐な花が見え出してきた。と同時にヒカゲツツジの黄色の花があちこちに現われる。イワウチワは淡紅色の可愛らしい花ビラをつけている。花びらの先は、細かく裂けている。3日前は開花していなかったらしい。
イワウチワの群生の大部分は白く、写真のようなピンク掛かった色の花は少なかった。
急峻な山道の踊り場のような陽の当たる平らな場所に、薄い黄色のヒカゲツツジが一面に咲き誇っている。各グループは集合写真の撮影を待って賑やかである。我々もそこで一枚撮る。
イワウチワもイワカガミもイワウメ科の山地の野草であるが、イワカガミの群生地には花の時期にはまだ早く、標識の下には葉だけが一面に地を覆っていた。
イワカガミの群生地を過ぎると頂上間近となる。坪山の山頂には11時半前に到着した。手狭な平の場所は、食事の場となっていた。山頂からは三頭山が間近に望め、長く裾を延ばし笹尾根が続いている。丁度その時山頂で食事をとっている人たちが地震で地が揺れていると騒いでいた。
山頂に立つ標識を取り巻き、大勢の人達が写真撮影をしている。人影がなくなった瞬間に撮った写真の背景に、三頭山の雄姿が写っている。今年一番の暖かい日の長閑な登山日和となった。食事の場は日陰の涼しい場所を求め、狭い頂きを少し下った場所でそれぞれ食事についた。
下りルートは急坂の道を避けて、びりゅう館へのコースを選んだが、それでも急坂である。やせ尾根で谷が深い狭い道もありスリルもある。植生は変化し西ルートで見た山野草はみられなかった。落葉樹の一斉の緑の若葉は1.2週間ほどで見られるだろう。
羽置の里びりゅう館は、地域の道の駅のような所で、蕎麦打ちなどが楽しめる。バスの時間を合わせるために、地場の野菜などをそれぞれ買い求め、生ビールでまず喉を潤した後バス停に急ぐ。バス停は少し離れた場所にあり、我々メンバーの後に長い行列ができてきた。権現山からの帰り道、山岸さんに教えられた地元の菓子屋で土産を買い、偶々開いていた居酒屋をさがし、再度生ビールを飲み直した。
坪山は小型ながら山頂直下は急である。イワウチワの群落は都内においては価値のあるもので、植物好きの人たちには必見であろう。 長張 記