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2021.12(第196回)展覧山、多峯主(とうのす)山
12月14日、当日の天気は昼過ぎ少雨との予報であったが、関東南部に偏っていると解釈して実行に踏み切った。集合は10時30分、場所はJR東飯能駅改札口前。川俣あけみさん、宮地麗子さん、中西摩可比さん、川面忠男さん、林譲さん、坂田洋介さん、長張紘一の7名の参加である。

今冬の一番の冷え込みとなる曇天の中、駅を離れ西側に真っすぐ延びる歩道を歩く。1㌔ほどひたすら歩くが、体は暖かくならなかった。中央通りには駿河台大学駅伝参加の幟旗が続いていた。

T字路に突き当たり右折すると天覧山らしき森が左方面に見えてきた。名園である能仁寺境内には入ることができなかった。やり過ごし緩やかに上って行く。

木立の中を上って行くと、天覧山中段と呼ぶ広場に出た。天覧山山頂に至る道は2手に分かれてしまった、後発メンバーは十六羅漢のある岩場の道を選び、岩場の眺めを楽しんだ。この辺りの岩場は3億数千年から1億数千年前に、海底でできたチャートが隆起してできたものである。

十六羅漢は徳川五代将軍綱吉の時代に、病気平癒を祈願した能仁寺に対しての御礼に、生母桂昌院が寄進した石像で岩場の上のあちこちに立っていた。岩場を上る鎖場の所があり慎重に上って行く。上部の山頂の南側は人工のテラスで張り出しており、上部から人の声が聞こえてくる。僕らのメンバーの声ではなかった。

山頂に辿り着いたが、先行のメンバーは既に下山していた。山頂直下で合流できたが、そこで、川面さんの早稲田の帽子を見て、金子宏二さんを知っているかと問いかけられたようだ。私が辿り着くと、以前、剣岳に登頂の折りお世話になった平山敏夫さん(右側)に出会った。平山さんは金子さんと共に早稲田の職員の校友で、山楽会の同僚だった方であり、2013年の剣岳登山には金子さんや遠藤千尋さんとともに、また、事前の二子山での岩場の訓練と度胸試しでもお世話になった。

平山さんとはこの集合写真の後、T字路で左右に分かれ、我々は、尾根筋を上り多峯主山を目指した。山頂までの道のりは、緩やかな上りであったが、山頂直下の上りは急登である。ここで中西さんと林さんが下山した。上りの道は思ったより長く感じ最後の急登はきつかった。

標高271m多峯主山の山頂からの飯能市の手前に、天覧山が眼下に見える。陽が指して明るくなっている場所も遠く見える。ここにあるテーブルで一組の別グループと、少し遅めの食事をとった。

山頂から御岳八幡神社への途中に雨乞池が見下ろせた。神社も岩山の上に鎮座していた。岩山を下った広場から見上げると岩壁に圧倒される。永く続く石段を下り車道に出る第2の鳥居を潜った時に雨がぱらついてきた。山道で雨に遭わなかったことはラッキーであった。予定の入間川の河原コースを変えて、東飯能駅への直行コースで車道を歩いた。休憩も兼ねて私立博物館に寄り、催し展示を見学して東飯能駅に着いた。小雨はすっかり止んでいた。聖蹟桜ヶ丘「鳥はな」で懇親会を行った。厳しくも変化のあるハイキングに満足されたようであった。
長張 記
展覧山・多峯主山歴史を訪ねる散策
県立奥武蔵自然公園の玄関、飯能市街地から少し足をのばすだけで、緑の山麓や清流のほとりにたつことができます。自然を求めて、歴史を訪ねて気軽なハイキングが楽しめます。
初冬の街を散歩しながら、体力アップに心掛けましょう。ご検討の上、体調に合わせご参加下さいますようお願いいたします。
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1.日時 12月14日(火)
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2.予定 展覧山(197m)・多峯主(とうのす)山 (270m) (歩行3時間ほど)
参考 聖蹟桜ケ丘駅(京王線準特急・新宿行)09:13→09:17分倍河原駅(JR南武線・立川行)09:25→09:36立川駅(JR青梅線・青梅行)09:44→09:56拝島駅(JR八高線・川越行)10:00→10:22東飯能駅
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○ 集合(10:30) JR八高線東飯能駅改札口
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徒歩開始 JR東飯能駅西口→(:25)諏訪八幡神社→(:05)能仁寺→(:20)展覧山→(:30)多峯主山→(:05)御嶽八幡神社→(:25)吾妻峡→(:05)八耳堂→(:35)飯能河原→(:20)JR東飯能駅
JR八高線東飯能駅から拝島駅経由立川駅方面
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○ 持ち物・装備 ハイキングスタイルでご参加下さい。昼食、飲料水、間食等 各自お好みで、帽子、タオル、手袋等、ヤッケ等防寒具、雨具(折り畳み傘)、ストック等。
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○ 雨天の場合は中止します。迷うような場合は、電話でお尋ね下さい。
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参加ご希望の方は、長張(tel 042-337-1792 携帯080-5544-6915 e-mail nagahari@ttv.ne.jp)にお知らせください。
第95回俳句同好会
多摩稲門会のサークル「俳句同好会」の月例句会が11月19日午後、多摩市の関戸公民館内で開かれた。毎月1回欠かさず実施してきて今回が第95回目の句会となった。
当月は〈妻の衣を干して介護の秋日和〉が最高得点句となった。高齢社会化が進み、老々介護が珍しくない世の中だ。介護はつらい作業だが、〈秋日和〉という季語が救いになっているというのが選句の理由だ。妻が夫を介護するケースが多いのであろうが、掲句は逆であるというところに俳味があると感じられたようだ。
99才で逝った作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんを追悼する句も高得点を得た。寂聴さんの句集『ひとり』に所載されている〈生かされて今あふ幸や石蕗の花〉を踏まえた句だが、〈今が終はりぬ〉という措辞に新味が感じられたようだ。 選句結果は以下の通り。カッコ内は選句者名(特選は◎で表記)
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妻の衣を干して介護の秋日和―――辻野多都子(川面◎、又木◎、松井◎、川俣、宮地)
茶の花や結界示す石一つ―――川俣あけみ(柴田◎、長張◎、松井)
確かむる連山の名や空澄めり―――川面忠男(宮地◎、川俣、又木)
弔問の靴に寄り来る石蕗明り―――又木淳一(川俣◎、辻野)
端布出し袋など縫ふ夜長かな―――宮地麗子(辻野◎)
鴨の陣抜けて水脈引く一羽かな―――川俣あけみ(辻野、又木、松井、宮地)
寂聴の今が終はりぬ石蕗の花―――又木淳一(川面、川俣、柴田、松井)
朱印帳の乾くを待てり雪ぼたる―――川俣あけみ(川面、又木、宮地)
琴で弾くオーシャンゼリゼ文化の日―――又木淳一(川面、柴田)
湧水の昏きを囲む石蕗の花―――松井秋尚(又木、宮地)
古酒新酒名酒は何処衆院選―――又木淳一(柴田)
音寄する枯葉の下の朽ちベンチ―――辻野多都子(長張)
襟立てて遅延バス待つ冬はじめ―――柴田香代子(川俣)
身にしむや知らで撫でゐる古き傷―――宮地麗子(辻野)
花芒群れてこそ尚独りかな―――宮地麗子(辻野)
頼りなく日溜りに舞ふ冬の蝶―――柴田香代子(松井)
枯蓮に残る矜持や鴉舞ふ―――川俣あけみ(長張)
木の実踏む音揃ひたる四人かな―――宮地麗子(長張)
浅漬や奥歯に小気味よく響き―――松井秋尚(川面)
色鳥やゆらぐ水輪に色こぼす―――柴田香代子(長張)
水涸れの水琴窟の大柄杓―――川俣あけみ(柴田)
(文責・川面)
カラオケサークル「いねの会」再開へ
多摩稲門会のカラオケサークル「いねの会」は2020年9月を最後に休会となっていたが、1年3か月ぶりに12月から再開されることになった。従来は毎月第3火曜日だったが、今後は第3水曜日に変更して行う。時間は正午から午後5時まで、会場は京王線聖蹟桜ヶ丘駅に近い「京」という店だが、従来の会場「麗」が閉店した後の店で変わらない。
「いねの会」はコロナ感染者が増え緊急事態宣言が発令されたため自主的に活動を止めた。休会となり、会長をはじめ世話役の幹事長らも任を解かれた。その時点で活動にいったん終止符を打ったわけだ。
今年に入ってコロナ感染増が抑えられてきた10月、再び「いねの会」のメンバーだった有志が稲門会とは切り離した自主的な活動としてカラオケ会を開いた。会の名は「ピアチューレ」で名付け親の上條喜義さんが世話人を引き受け、会場となる京と話して実施日は第3水曜日となった。
「ピアチューレ」は11月も17日に開かれたが、その場で上條さんがコロナ感染者の減少状況を踏まえ今後は多摩稲門会の活動として実施することを提案、参加者が賛同、世話人は上條さんが務めることを申し合わせた。その際に会の名も「いねの会」と旧名を復活することに決めたものだ。
11月の「ピアチューレ」は、メンバーの稲積滋さんが88歳になったことから米寿の祝いをすることも目的になっていた。辻野多都子さんが提案したが、稲積さんの耳には入れていなかったので稲積さんにはサプライズとなった。

辻野さんから花束を手渡した。参加者には89歳の田中亮介さんがいた。「いねの会」を立ち上げた先輩であり、来年は田中さんの卒寿の祝いもしようと申し合わせた。
「有志の会」のピアチューレは今年3月に発足したもののその後の緊急事態宣言のため中断、3回開いただけで11月が最後となった。当日は13人が参加し、1人あたり5曲ずつ歌った。多摩稲門会の会長である尾ノ井光昭さんは田中さん、稲積さんら80歳代を励ます気持ちを込めて阿久悠の作詞、杉本眞人作曲の「あなたの背中に」を歌った。「あなたはまだまだ男ざかり その気にさせたい応援歌 あなたの背中に送ります」と歌詞にある。尾ノ井さんは「70歳代から80歳代に送ります」と付言した。
筆者は60歳代で「いねの会」のメンバーになったが、70歳代を過ぎて現在は80歳を超えた。尾ノ井さんのエールを受けて今後も歌おうと改めて思った。歌い出した時は声がよく出なかったが、歌っているうちに腹から声が出るようになった。カラオケは健康にもいいのだ。
(文責・川面)
「自粛そこのけ、にぎやかグルメ」
コロナ禍に妨げられてきた83回目のグルメの会を11月15日、1年2カ月ぶりに多摩センターの焼肉店「但馬屋」で開いた。4回目の緊急事態宣言が9月末に解除されると間もなく感染者数が急激に減少、飲食店の営業規制が大幅に緩和されたせいだ。とはいえ、飲み放題を復活した店は少なく、5人以上のグループ会食には制約が課せられたままだった。
そのため店探しにはひと苦労。結局今回は、参加者を10人に限定、店側が示した入店時に新型コロナウイルスのワクチン接種証明書を提示する条件を呑むことにして開催にこぎつけた。
定刻までに男性10人が集まり、多摩稲門会の尾ノ井光昭会長が久々の会合を喜び挨拶、広田進さんが音頭をとり生ビールで乾杯した。
まずはキムチとナムルの三種盛り合わせと野菜サラダが各人に、間もなく「極上の」タン塩と大山(だいせん)鶏が5人分ずつ大皿に盛られて運ばれた。感染防止のため、トング(焼肉ばさみ)は各人に配られたが、飲み放題の焼酎やワインなどがまわるにつれ、話し手と焼き手が分業状態に。和牛「上」カルビと「特選」ロースが出てきたころには談論風発、恒例のショートスピーチは取りやめたものの平常時の会以上に盛り上がった。
元NHKアナウンサーの西村弘さんがこの夏、原爆をテーマに本にまとめた「あの夏の日~ヒロシマ國泰寺梵鐘縁起」について「本屋を探してもなかった」と疑問の声が上がり、西村さんは「200部限定出版ですが、ご希望なら差し上げます」と応じた。
野球をはじめスポーツや著名人の訃報、さらには「男性寿命」まで飛び出すほど話題は多岐にわたったが、気後れされた方もおられたようで、今後の課題となった。
ハラミ(横隔膜の肉)を味わったあとワカメクッパで締めた。宴は3時間を超えていた。
(世話人 浅井隆夫)
2021.11(第195回)清水入り緑地、長池公園、蓮正寺公園
11月9日13時、京王相模原線南大沢駅改札口前集合。昨晩から本格的な雨になるが、昼に止むとの予報を期待して、一年ぶりの開催を決断した。
午前中からの強い雨は、何時小降りとなるのか不安になりながら、川俣あけみさん、宮地麗子さん、中西摩可比さん、川面忠男さん、林譲さん、浅井隆夫さん、長張紘一・敬子の参加者は8名が集まった。久し振りに顔を合わせたメンバー同士のお喋りが始まる。
小雨の中の南大沢駅前広場は、都立大学の学生や一般の人も含め比較的賑わっていた。スタート時間を少し遅らそうと思っていたが、まだ小雨の降るなか、傘を差しながら南大沢駅を後にした。線路に平行して京王堀之内駅方面に向かう。
秋の樹々が茂る遊歩道を進み、右折する階段を上ると車道に出る。そのまま南方面に直進し歩道橋を渡った辺りから、また遊歩道となる。清水入り緑地は西側の居住地と東側に落ちる傾斜地の細長い緑地帯である。

小雨も上がってきたようである。緑地の下に降り、尾根幹線道路近くの最南の出口から東側の隣りの緑地である長池公園にむかう。車道を渡り長池公園の丘陵地に上る。
長池公園の南端の最高度の場所は、広場となり天望もあり休憩をとる。

長池公園内は普段は多くの住民が訪れる場所であるが、本降りの雨の直後でもあり、私たちメンバー以外の姿は見られなかった。

雨後の霧のかかった樹々に覆われたトンネルの道をなだらかに下り、半ばほどで右側の長池に下る小道に降りる。


長池から沢沿いの道を下り築池、更に見附橋を潜りせせらぎ緑道を下り、お月見公園交差点から蓮正寺公園に向かう。 空も明るくなってきた。しっとりとした緑の下の散策は、長かったコロナ禍の気持ちをリフレッシュさせてくれたようだ。
長張 記 写真一部中西さん
What’s JAZZへの招待 vol.59
~ 第1部モダンジャズサウンド 第2部クリスマスジャズ~
・日時:12月9日(木)昼の部: 13: 30開場、14:00開演
夜の部: 17:00開場、17:30開演
・場所:永山公民館 5Fベルブホール
・定員:144名
・チケット:1,500円 前売り券11月4日(木)10:00から12月8日(水)17:00迄 関戸公民館7F ボランティア市民活動支援センターで。当日券は 会場受付で。チケットの半券に住所氏名記入お願いします。
・出演 : マリア・エヴァ(ボーカル)宅間(たくま) 善之(よしゆき)(ヴィブラホン) 金山マサ裕(ピアノ)菅井(すがい)信行(のぶゆき)(ベース)スインギー奥田 (ドラムス)
・主催 : What‘s JAZZ実行委員会、関戸公民館
・問い合わせ 山中康廣 y.y@abelia.ocn.ne.jp
多摩ニュータウンの紅葉にひたる
一年ぶりに「山歩きの会」を開催しますが、皆様方運動不足で足腰は弱まっているのではないかと心配します。今回は弱まった足腰を戻すため、近場の街のハイキングを企画しました。
街歩きを楽しみしながら、体力アップに心掛けましょう。ご検討の上、体調に合わせご参加下さいますようお願いいたします。
1.日時 11月9日(火)
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2.予定 清水入り緑地、長池公園 (歩行2時間ほど)
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○ 集合(13:00) 京王相模原線南大沢駅改札口
・ 徒歩開始 南大沢駅→清水入り緑地→長池公園→せせらぎ緑道→お月見公園交差点→日枝神社→京王堀之内駅
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○ 持ち物・装備 ハイキングスタイルでご参加下さい。飲料水、間食等 各自お好みで、帽子、タオル等、手袋等、雨具(折り畳み傘)
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○ 雨天の場合は中止します。迷うような場合は、電話でお尋ね下さい。
・ 参加ご希望の方は、長張(tel 042-337-1792 携帯080-5544-6915 e-mail nagahari@ttv.ne.jp)にお知らせください。
第94回俳句同好会
多摩稲門会のサークル、俳句同好会の第94回となる10月例会が15日午後、多摩市の関戸公民館和室で開かれた。投句、選句したのは8人だったが、1人が見学し、次回から参加する見込みとなった。今回はメンバーの2人が9月にバスで四国の札所を回り、秋遍路の句を投句、6句が選に入り、うち4句が特選となったことが特筆できる。また同会の有志が月例会の矢先に立川市の昭和記念公園を散策、コスモスを季語とした吟行句を投句したことも特徴だ。
選句結果は以下の通り。カッコ内は選句者名(特選は◎で表記)。
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札所まであと幾曲がり木の実降る―――川俣あけみ(又木◎、宮地◎、川面、 辻野、松井)
コスモスに沈みつ浮きつ乳母車―――川俣あけみ(柴田◎、辻野、長張、又木、松井)
海亀の産卵の浜野分雲―――川俣あけみ(辻野◎、又木、宮地)
秋の蚊を経本でよけ読経せり―――川俣あけみ(長張◎、辻野、宮地)
ずんずんと雲抜けきたりけふの月―――宮地麗子(松井◎、柴田)
眉山前に亡き人の夢秋遍路―――辻野多都子(川面◎、松井)
杖の鈴鳴らし花野を広げけり―――川俣あけみ(辻野、又木、宮地)
忘れもの何かありさう穴まどひ―――松井秋尚(長張、宮地)
底なしの碧き空あり青蜜柑―――宮地麗子(川俣、柴田)
水引草木洩れ日つかみ掴み伸ぶ―――松井秋尚(川面、川俣)
秋桜ヘリコプターの音に揺れ―――川面忠男(川俣)
新蕎麦を打つ二代目の眉太し―――柴田香代子(長張)
車窓から釣瓶落しの富士の峰―――長張紘一(柴田)
子だくさん笑顔の数のりんご剥く―――柴田香代子(川面)
栗剥いて実より嵩張る鬼の皮―――長張紘一(柴田)
秋夕焼唯足るを知る心地して―――又木淳一(川面)
曼珠沙華こことあそこと遅れ咲き―――宮地麗子(松井)
刈田行くバスの遍路に甘露雨―――辻野多都子(川俣)
家々の囲む古墳や鰯雲 ―――川面忠男(川俣)
秋天や出航の波消えぬまま―――宮地麗子(又木)
(文責・川面)
第93回俳句同好会
多摩稲門会のサークル「俳句同好会」は9月17日午後、多摩市の関戸公民館の和室で第93回目となる定例句会を開き、8人が5句ずつ投句と選句を行なった。40句のうち6句が特選句となったが、その1句の〈元寇の武者は十九や青葉影〉は長崎県の壱岐を訪れた旅で詠んだ句ならではの力強さがあると鑑賞された。まだ若い身空で国難に殉じた若者を詠んだ句だが、〈青葉影〉という季語が効いているという評だ。現地には若者の銅像が立っているという。蒙古襲来を想起する句であり、現代の中国の脅威と重ね合わせると奥の深い句となる。ともかく格調のある句だ。
選句結果は以下の通り。カッコ内は選句者名、特選は◎で表記。
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遺句集の生くる言葉の沁む身かな―― 川面忠男(柴田◎、又木◎、宮地)
秋澄みて小藪隠れの水の音 ―柴田香代子(川面◎、川俣、辻野)
高幡不動尊
敗荷や眼差し曇る美男像―― 川面忠男(長張◎、辻野)
翼あらば帰燕追ひかけ南溟へ―― 川俣あけみ(宮地◎、柴田)
だしぬけに彼岸花立つ不動尊―― 辻野多都子(松井◎、長張)
壱岐
元寇の武者は十九や青葉影―― 辻野多都子(川俣◎)
木々の音風に乾きて鰯雲―― 松井秋尚(川面、川俣、辻野、宮地)
草引きて膕(ひかがみ)洗ふ朝湯かな―― 辻野多都子(川面、川俣、又木)
吹かれきて溺るるもよし稲穂波―― 川俣あけみ(柴田、長張、松井)
鬼の子に心弱りを見透かさる―― 川俣あけみ(柴田、松井、宮地)
悠久の煤けたる梁秋の寺―― 長張紘一(川俣、松井)
杭のごと鷺立つ秋の川辺かな―― 宮地麗子(柴田、長張)
せいいつぱい今日を限りの残暑かな―― 宮地麗子(又木)
団十郎の朝顔渋き夜明かな―― 辻野多都子(松井)
毅然たる姿勢崩さぬ桔梗かな―― 松井秋尚(長張)
昼の虫小雨の草に幽かなる―― 川面忠男(辻野)
梨を剝く音小気味よくざらめきて―― 松井秋尚(又木)
警世の書を読み耽る夜長かな―― 川面忠男(又木)
琵琶をもて朗朗と天に南洲忌―― 又木淳一(川面)
会ひたき絵秋の小さき美術館―― 松井秋尚(辻野)
稲苅田ひかり真直ぐ差しきたり―― 川俣あけみ(宮地)
秋蟬の声聞き分ける法の山―― 松井秋尚(川面)
(文責・川面)