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第91回俳句同好会
多摩稲門会のサークル「俳句同好会」の月例句会が7月16日午後、7人が出席、1人は選句を世話人に託してして開かれた。活動開始以来、休会はなく今回が第91回目、JRのダイヤが豪雨のため乱れがちになる中を京都方面に旅をした川俣あけみさんが〈荒梅雨や列車動けば旅人に〉をはじめ吟行句を詠み、投句の5句とも選に入ったのが特徴という月例会になった。松井秋尚さんの〈籐椅子の軋み主の在すごと〉をはじめ3句が特選句となったことも特筆できよう。
選句結果は以下の通り。カッコ内は選句者名(特選は◎で表記)。
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荒梅雨や列車動けば旅人に――― 川俣あけみ(辻野◎、柴田◎、長張、又木)
籐椅子の軋み主の在すごと ―――松井秋尚(宮地◎、川俣、辻野、又木)
翡翠や集めし視線ごと水へ ―――松井秋尚(長張◎、川俣、宮地)
近づいて蟻の視線になつてゆく―――松井秋尚(川俣◎、川面)
絵日傘の似合ふその人路地へ消ゆ―――柴田香代子(川面◎)
息凝らし待てばふたたび螢の火———宮地麗子(松井◎)
梅雨深し小舟舫へる葦の陰 ―――川俣あけみ(又木◎)
拗り花縺れて断ちし恋のごと ―――辻野多都子(川面、長張)
山梔子の花嗅ぐひとりまたひとり―――松井秋尚(長張、宮地)
たましひや胸に寄り来る蛍の火―――川面忠男(松井、宮地)
信長の直筆の文蚊の唸り―――川俣あけみ(辻野、長張)
里山の陽を集めたる枇杷をもぐ――― 柴田香代子(川俣、宮地)
木道のおみな嫋やか花菖蒲――― 川面忠男(辻野)
写経する寺の一隅草刈女―――川俣あけみ(柴田)
かもの子の姿探しぬ水増して ―――宮地麗子(又木)
紫陽花に囲まれ媼無垢となり――― 柴田香代子(川面)
螢の夕逝きし人の名次々と――― 辻野多都子(柴田)
青柿の落ちて歩道に鎮座かな――― 宮地麗子(又木)
川床(ゆか)料理危ふき風の吹き始む―――川俣あけみ(辻野)
座して伏せ上目遣ひの雨蛙 ―――長張紘一(柴田)
蛍火や墓誌に当歳名もありて――― 又木淳一(松井)
老鶯の声のいよいよ響きけり――― 川面忠男(松井)
向日葵の立ちつくしたり川轟々―――宮地麗子(川俣)
高く舞ふ低きは雌の蛍かな――― 長張紘一(柴田)
誕辰の老いを忘るる四葩かな――― 又木淳一(川面)
笑まふ写真や五月雨の遺作展―――宮地麗子(松井)
(文責・川面)
第90回俳句同好会
多摩稲門会のサークル「俳句同好会」の6月例会が18日午後に開かれ、9人が投句と選句を行なった。この日は43句が投句され、各人5句ずつ選句したが、24句が選に入った。その中で〈羅(うすもの)や食細りたる日を重ね〉が高得点句となった。〈食細りたる〉は単に食欲が衰えたというだけでなく心理的なものを感じさせ、それが日々続いているという状況に羅という季語が合っているのだ。羅は一重であり、痩せた体の線が透けてみえると感じた選句者もいる。
選句結果は以下の通り。カッコ内は選句者名。(特選句は◎で表記)
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羅や食細りたる日を重ね —-川俣あけみ(近沢◎、又木◎、宮地◎、川面、辻野)
老鶯の声拾ひたる八合目 ――宮地麗子(長張◎、川面、柴田、又木)
ゆすらうめひと粒づつの日の淡き―― 松井秋尚(川面◎、近沢、長張)
朝曇り富士残像の在処(ありか)かな ――辻野多都子(松井◎、宮地)
クレマチス緑魔子てふ怪(け)し瞳 ――又木淳一(辻野◎)
苗植うる水面に雨の波紋舞ふ―― 長張紘一(柴田◎)
実梅落つる音を追ひけり目を密に ――川俣あけみ(辻野、長張、宮地)
登校の白き一列夏帽子―― 宮地麗子(柴田、松井)
揺り椅子にあづける背中若葉風―― 松井秋尚(川俣、柴田)
梅雨籠り男料理のやや辛め ――柴田香代子(川面、松井)
風涼し空の果てなる相模灘―― 宮地麗子(近沢、松井)
時の日の墨の乾きを待つ夕べ 川俣あけみ(又木、宮地)
たましひの遺る「津軽」や桜桃忌―― 川面忠男(辻野、又木)
終電を見送る影や走り梅雨―― 柴田香代子(川面、川俣)
通院の坂の紫陽花色増せり―― 宮地麗子(川俣、松井)
学習の子等を待ちをる代田かな ――松井秋尚(川俣)
友の訃に箸のすすまぬ梅雨の夜―― 柴田香代子(宮地)
竹落葉竹の触れ合ふ音しきり―― 川面忠男(長張)
立葵僕とデュエットしませんか ――又木淳一(辻野)
古民家の花壇荒れたりはたた神-- 川面忠男(長張)
シャーベット皿ごと氷る行事食 ――近沢市子(柴田)
荷をおろし夕焼雲見る余生かな―― 宮地麗子(川俣)
一斉に放尿の子等ジギタリス ――又木淳一(近沢)
朝日浴び浄土拡ぐる蓮の花 ――川俣あけみ(又木)
塵捨てし跡の花壇や日日草 ――川面忠男(近沢)
(文責・川面)
第89回俳句同好会
多摩稲門会のサークル「俳句同好会」の5月例会が21日午後開かれ、メンバーの9人全員が出席した。

今回の特筆は、亡くなった姉のことを詠んだ連作が1席、2席、3席と上位を独占したことだ。今回が第89回目となったが、連作でこのようになったのは初めてだ。姉を思う気持ちがこもった連作であり、メンバーの多くに伝わったのだ。 他にも亡き夫を悼む気持ちで四国遍路をして詠んだ句が選に入った。メンバーは高齢者が大半で愛別離苦に堪えざるを得ない人生のステージに立たされている。俳句は、日々明け暮れの詩であり、縁者を偲ぶ句には共感するのだ。 選句結果は以下の通り。(カッコ内は選句者名、特選句は◎で表記)
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薫風を着物に包み納棺す―川俣あけみ(柴田◎、松井◎、宮地◎、川面、辻野、又木)
葬列や雨に揺らげる山法師 ― 川俣あけみ(近沢◎、川面、辻野、又木)
青嵐命終近き姉の許(がり)― 川俣あけみ(又木◎、近沢、辻野)
朝の日を揃へて弾く山法師― 松井秋尚(辻野◎、川俣、長張)
青嶺出で青嶺に消えぬ山頭火― 辻野多都子(川面◎、又木)
呟きてなんじやもんじやの呪文めく― 松井秋尚(長張◎)
一幅の余白に夏の来たりけり ― 川俣あけみ(辻野、又木、松井、宮地)
喪心を杖に預けてバス遍路― 辻野多都子(川面、川俣、宮地)
往くあての無き日や独り春惜しむ― 宮地麗子(柴田、長張)
一匹の蜘蛛にたぢたぢ独りの餉― 川俣あけみ(松井、宮地)
大欅全身余すなく若葉 ― 松井秋尚(川俣、近沢)
不要不急論語読み解く五月かな― 又木淳一(川面、松井)
夏めくや風にのりくる木の香り― 柴田香代子(松井)
したたかにはじけ飛び来し木の実植う― 近沢市子(柴田香代子)
静寂な森や小啄木鳥の叩く音 —長張紘一(川俣)
四時間のおしん特集昭和の日 ―又木淳一(柴田)
剪定し透きたる畑の生気かな― 近沢市子(長張)
若竹や会へぬ間に孫伸び来たる —柴田香代子(近沢)
若葉風ノツクの飛球追ふ子らへ ― 川面忠男(川俣)
葉桜や友の忘れし杖の照り ―辻野多都子(長張)
先細る人の一生山笑ふ ―長張紘一(柴田)
えごの花二筋真つ直ぐ引いて落つ― 松井秋尚(近沢)
城山の巻き道急ぐ竹落葉 ―川面忠男(川俣)
(文責・川面)
第88回俳句同好会
サークル「俳句同好会」の第88回となる4月例会は、メンバー9人が全員出席して16日午後に開かれた。投句された43句のうち最高得点句は〈蝶低く影ころがして縺れ合ふ〉、蝶の動きの影まで凝視している。次席の〈転生も地球の子なれ花の昼〉は、亡き夫に「戻って来い」と呼びかけた夫恋の詩だ。
1点句だが、〈孜々として孜々として父昭和の日〉は父恋の句。日本の戦後復興から高度経済成長の時代、孜々(しし)として懸命に働いた父だ。中村草田男の〈若き等孜々と勤むる往来(ゆきき)花の園〉という出勤風景を描写した句と違い、掲出句は父を尊敬し懐かしがる子の心情を伝えている。
選句結果は以下の通り。カッコ内は選句者名(特選は◎で表記)
蝶低く影ころがして縺れ合ふ 松井秋尚(長張◎、川面、川俣、近沢、辻野)
転生も地球の子なれ花の昼 川俣あけみ(辻野◎、川面、柴田)
独り身の気ままなる餉や春夕焼 川俣あけみ(宮地◎、柴田、松井)
願はくは多摩横山の桜守 又木淳一(川面◎、松井)
逆流の時計回りの落花かな 川面忠男(松井◎、又木)
春の川朝日に生まる光の子 柴田香代子(又木◎、近沢)
退院も独りや桜降る日なり 宮地麗子(近沢◎、川面)
二つ出で離れて三つ土筆ん坊 松井秋尚(柴田◎、長張)
図書館の匂ひ纏はる春愁 宮地麗子(近沢、長張、又木、松井)
円丘の頂き四方の霾れり 川面忠男(川俣、長張、又木)
吾が影に蒲公英入れて休みけり 松井秋尚(川俣、辻野、宮地)
こち見入る鏡の吾や春愁 松井秋尚(川俣、又木)
まだ若き黄蝶に従きて坂登る 辻野多都子(川俣、柴田)
残の身が残の花見る風の道 辻野多都子(長張)
友どちとこの世この時花蘇芳 川面忠男(宮地)
花冷や「はけ」と呼ばるる湧水地 川俣あけみ(宮地)
春の地震話題転じて体験談 長張紘一(柴田)
ひとりでもふたりで見ても桜かな 宮地麗子(松井)
光太郎忌果実を噛みて詩唄ふ 近沢市子(辻野)
孜々として孜々として父昭和の日 又木淳一(川面)
すみれ挿す玻璃のグラスや透きとほる 宮地麗子(近沢)
我もまた孤老の一人花菜漬 辻野多都子(宮地)
揺曳のクレソンの根や春の色 川俣あけみ(辻野)
(文責・川面)
寺島氏がテレビで講演と対談
多摩稲門会会員の皆様
寺島実郎事務所からメディア出演情報が届きました。
今月から第4日曜日に「寺島実郎の世界を知る力」「対談篇 時代との対話」(第1回放送:4月25日(日)午前11時~<ゲスト>:細川護熙氏(元内閣総理大臣、公益財団法人永青文庫 理事長))が東京MXテレビ(9チャンネル)で始まります。
浅井
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●TOKYO MX1「寺島実郎の世界を知る力」
【第3日曜日】第7回放送:4月18日(日)午前11時~
番組前半では、IMFより先週発表された最新の世界経済見通しを元に、日本及び世界経済の展望について分析します。2021年の成長予測がほとんどの国で上方修正され、株価が異様な「V字回復」を見せているなか、日本における家計消費支出は、ピーク時の水面下を推移する状況が続いております。
最新のデータをもとに、21世紀に入って起きている消費構造の変化について、寺島独自の視点で詳しく掘り下げます。
後半では、これから3回に渡って「日本とロシア」をテーマに踏み込みます。
今回は、18~19世紀にかけての日本とロシアの関係という視点から、1853年にペリーが来航する半世紀以上も前から日本に接近しているロシアの背後にある歴史的な構造や北海道とロシアの歴史的な相関について、寺島ならではの広く、深い視座で踏み込みます。
【第4日曜日】「対談篇 時代との対話」第1回放送:4月25日(日)午前11時~ <ゲスト>:細川護熙氏(元内閣総理大臣、公益財団法人永青文庫 理事長)
東京・目白台の永青文庫にて、細川家所蔵の貴重な史料や戦後日本の政治の歩みに触れながら、『日本人と文化力』をテーマに対談を致しました。
細川家に代々引き継がれている様々な史料や伝承されているエピソード等から歴史において細川家が示している存在感の大きさについて触れ、細川護熙氏が薬師寺に2019年に奉納された「慈恩殿障壁画」(全113枚、総長157.72メートル)の一部を紹介しながら、日本人の美意識・文化力の涵養の重要性について、現代社会に問いかけます。
また、内閣総理大臣として国を率いておられた時期・時代について振り返り、現在コロナ禍で取り組んでおられるシングル・マザー支援など、細川氏のこれまでの歩みやご活動に触れながら、現代の政治や社会への危機感について、寺島との対談を通じて深く掘り下げます。
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【TOKYO MX テレビ】
●[2020年10月~放送]『寺島実郎の世界を知る力』
(第1回~第6回 見逃し配信)
エムキャス:https://mcas.jp/movie.html?id=749856148&genre=453017953
Youtube:https://www.youtube.com/playlist?list=PLkZ0Cdjz3KkhlIA30hZIT5Qnevsu0DBhY
*見逃し配信につきましては、寺島文庫ウェブサイトからもアクセスできます。
https://www.terashima-bunko.com/minerva/tokyomx-2020.html
(昨年4月~9月にかけて放送いたしました「寺島実郎の日本再生論」も視聴できます)
■□寺島文庫【公式】YouTubeチャンネル□■
「寺島文庫とは?寺島実郎が本にかける想いからルーツを語る」、
「寺島文庫×岩波書店 コラボ企画」配信中!
https://www.youtube.com/channel/UC0XD63YLYSgGJHKhd5MHh9w/featured
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第87回俳句同好会
多摩稲門会のサークル「俳句同好会」の3月例会が19日午後、多摩市の関戸公民館和室で開かれた。事前にメールで9人が投句したが、当日は8人が出席して選句した。42投句のうち半数以上の23句が選句された。季節は冬から春に移り変わり、投句も冬の季語が消え春の季語の句ばかりとなった。コロナ禍のせいもあり、日頃はお互い会うこともないが、俳句を通じてメンバーたちと心の交流ができる句会となった。
選句結果は以下の通り。カッコ内は選句者名(特選句は◎で表記)
花冷えや夫ゐぬ部屋の古時計 柴田香代子(川面◎、又木◎、川俣、 辻野、松井)
酒飲みて人と話して春愁 辻野多都子(松井◎、宮地)
愛撫といふ言葉ありしや春の雨 宮地麗子(辻野◎、又木)
遠富士を眺むる山の初音かな 松井秋尚(柴田◎、川俣)
空つぽの時間重ねて初桜 川俣あけみ(宮地◎、松井)
ゆるびたる空の緊まりや花辛夷 川俣あけみ(長張◎)
春泥を昔ヒールで踏み越せり 近沢市子(辻野、柴田、又木)
牧水の恋路の傾り迎春花 川面忠男(辻野、長張)
バス降るる処あやふや山笑ふ 松井秋尚(川面、長張)
咲き満ちて空奪ひあふ梅の花 柴田香代子(川俣、松井)
犬ふぐり山の際まで農夫道 近沢市子(川面、宮地)
芽柳の色ぼやと溶くさざれ波 松井秋尚(長張、宮地)
よろけゐる羽虫目で追ひ春炬燵 宮地麗子(川面、又木)
梅林の花に浮き出る茅の屋根 川面忠男(柴田、長張)
渋谷で猿之助の「藪原検校」を見る
二月来る猿之助吼ゆるピカレスク 辻野多都子(又木)
里山の古寺の由来や観梅園 長張紘一(宮地)
白梅はレースの帷ちぎれ雲 辻野多都子(川俣)
梅園の大番傘に異国人 長張紘一(柴田)
白子干太平洋の風を呼ぶ 川俣あけみ(松井)
盆梅の白き一輪竹垣に 川面忠男(柴田)
涅槃図に紛れ込まする嗚咽かな 川俣あけみ(辻野)
摘草や白砂の傾り見上げし日 又木淳一(川俣)
宮地嶽神社光の道「夕日祈願祭」に参列
光の道夕陽出ぬまま二月尽 辻野多都子(川面)
(文責・川面)
「40周年記念寺島実郎講演会」中止のお知らせ
多摩稲門会会員の皆様へ
日頃は多摩稲門会の運営にご理解とご協力をいただき厚く感謝申し上げます。
コロナ感染症の収束が見えない中、今年も早3月、コロナ発症から1年数か月経過しました。2回目の緊急事態宣言後も感染者数は下げ止まらず、首都圏は7日から更に2週間の延長になりますが、その後も新規感染者数は増え続けると予測されます。
昨年6月、総会時開催予定の寺島実郎氏「40周年記念講演会」は1年延期し、改めて本年6月20日開催の方針で進めてまいりました。
早稲田大学校友会本部より本年4,5月の各種イヴェントの自粛要請がありましたが、6月時点での自粛延長は未だ不明です。記念講演会のような比較的大規模な集会の開催は3密対策を講じても感染の防止は万全ではなく、万が一クラスターの発生も考えられます。一方、コロナの収束は全国民のワクチン接種による集団免疫が成立するまで難しいとの専門家の見通しです。
ご多忙な寺島先生のスケジュールの中、実施するかどうかの返事は2月末が限度、常任役員会としても苦渋の判断の結果、40周年事業を断念する事を全員一致で決議しました。2月末、寺島事務所林秘書へ今後のコロナ感染症情勢の見通しと周年事業の中止をお伝えしたところ、事情をご理解・ご了承いただきました。
会員の皆様と多摩市民の交流の場として関係各位の熱意で叶った記念講演会、楽しみにされている方も多いと存じますが中止になり残念、衷心よりお詫びいたします。
40周年事業は中止になりましたが、未来の45・50周年事業実現へと志のバトンを託します。コロナ収束の光明が見えれば早急に文化フォーラム等でご一緒出来る催しを企画致します。
会員の皆様には、くれぐれも3密対策の上、行動変容をされ自衛されることを切に願っております。御自愛下さい。
多摩稲門会
会長 尾ノ井光昭
第86回俳句同好会
多摩稲門会のサークル「俳句同好会」の月例俳句会が2月19日午後、多摩市のベルブ永山公民館・和室で開かれ、9人が出席した。同会の月例会は発足以来、欠かすことなく行われ、当月が第86回となった。あらかじめメールで投句された43句のうち25句が選句された。各人が5句を選句し、うち1句を特選とした。最高得点句の〈胸に居てここに居ぬ人梅三分〉はもう会えなくなった亡き人を偲んだ句。三分咲きの梅に悲しく寂しい気持ちを託した。次の高得点句の遺品の昭和史も亡き人が残した本のことだ。
選句結果は以下の通り。カッコ内は選句者名、特選は◎で表記した。
胸に居てここに居ぬ人梅三分 川俣あけみ(近沢◎、辻野◎、宮地◎、又木)
『昭和史』といふ遺品読む建国日 川俣あけみ(又木◎、川面、近沢、松井)
土ほぐれ陽の匂ひたる春日和 柴田香代子(松井◎、近沢)
大山の切り絵の浮かぶ冬夕焼け 長張紘一(川面◎、松井)
薄氷を踏みて泣かすや身代りに 宮地麗子(長張◎、辻野)
蒼き壜朝日かぶりて冴え返る 近沢市子(柴田◎)
壺洩りて寒菊くれし人も亡し 辻野多都子(川俣◎)
草萌やどの道行くも独りなり 川俣あけみ(川面、長張、又木、宮地)
会話けふも一人二役春の雲 川俣あけみ(川面、松井、又木、宮地)
選択肢無くば迷わず春寒し 宮地麗子(柴田、辻野、長張)
診察を待つ椅子固し春寒し 松井秋尚(川俣、近沢)
探梅や土の香著き山祠 又木淳一(辻野、長張)
春一番子を抱く母の腕捲り 川面忠男(長張、宮地)
落葉積み胸まで埋まる幼たち 長張紘一(川面)
鯉はぬる音冴え返る鏡池 柴田香代子(川俣)
火事跡の窓に白光戻りをり 川面忠男(川俣)
猿山の落ち零れ猿冬日陰 辻野多都子(川俣)
パン匂ふ開け放たれし春の店 近沢市子(辻野)
老いも又目覚めよと鋭き冬木の芽 辻野多都子(柴田)
新春の娘家族に仔犬増え 長張紘一(柴田)
枯るるほど夕日の映ゆる山の影 柴田香代子(又木)
地を搏ちて開く花弁やシモバシラ 辻野多都子(近沢)
艶増せる膨らみ確と桜の芽 松井秋尚(柴田)
寄り合へぬ一年過ぐる春隣 長張紘一(宮地)
麦踏みし十一文は祖父に似て 又木淳一(松井)
(文責・川面)
第85回俳句同好会
多摩稲門会のサークル「俳句同好会」の初句会が1月15日午後、多摩市の関戸公民館・和室で開かれた。第85回でありサークル活動として8年目に入った。1週間前に9人がメールで3句ないし5句を投句、当日は8人が出席して選句と合評を行なった。その結果、41投句のうち半数近い19句が選に入った。
各人が1句だけ選ぶ特選句は6句だが、そのうち4句は人生のパートナーに先立たれたばかりの哀しみを詠んだ句というのが当月の特徴である。〈冬深む椅子の凹みの慕はしく〉は「椅子の凹み」にもそこに座っていた在りし日の故人を想う句だ。最高得点句の〈帰り来よ玄関前の落葉掃く〉には、再び会いたいという気持ちがこもっている。〈移り香の着物掛けおく冬座敷〉の着物は、和服が故人を偲ぶよすがになっている気持ちを詠んだもの。〈人去りて残れる眼鏡初あかり〉は、〈夫去りて〉という気持ちを抑えて〈人去りて〉と一般化して詠んだ。
そんな作者の哀しみを友人として想い詠んだのが〈行く年や嘆きを友に置きしまま〉、〈年忘れ然れど喪の友忘れざる〉の2句である。
選句結果は以下の通り。カッコ内は選句者名、特選は◎で表記。
冬深む椅子の凹みの慕はしく 川俣あけみ(又木◎、松井◎、長張、宮地)
読初や苞の栞に蕪村の句 川面忠男(川俣◎、辻野◎、又木)
帰り来よ玄関前の落葉掃く 川俣あけみ(川面◎、辻野、又木、松井、宮地)
行く年や嘆きを友に置きしまま 辻野多都子(長張◎、川面、宮地)
移り香の着物掛けおく冬座敷 川俣あけみ(柴田◎、又木、松井)
人去りて残れる眼鏡初あかり 川俣あけみ(宮地◎、辻野、又木)
元旦や咳も谺の街独り 宮地麗子(川面、辻野、長張)
初マスク見するあてなき紅をさす 宮地麗子(川面、川俣、柴田)
日の落つる枯木の果ての浄土かな 川面忠男(辻野、長張)
年忘れ然れど喪の友忘れざる 川面忠男(川俣、長張)
憂ふことなき日の無くて去年今年 宮地麗子(柴田)
新春の旅は無言のスマホ抱き 辻野多都子(松井)
かじけ猫たやさぬ灯あり祖母が跡 近沢市子(川面)
三が日ずらし今年の初詣 松井秋尚(柴田)
バス停の暁光柔き四日かな 又木淳一(川俣)
屋久島の残夢残月初日の出 辻野多都子(宮地)
金婚も籠り人なり七日粥 川面忠男(川俣)
名入り瓶並ぶ居酒屋年暮るゝ 長張紘一(柴田)
初刷を新たに三紙加へけり 又木淳一(松井)
(文責・川面)
早稲田大学校友会からOB会の活動等の行動指針、要請
校友会支部・稲門会 各位
早稲田大学校友の皆様
新年あけましておめでとうございます。
平素より校友会活動に格別のご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらないことを受けて、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の1都3県)については、今週中に緊急事態宣言が再度発出される予定です。
今回の宣言は飲食店の営業時間等にフォーカスを当てるなど、ある程度限定された内容での実施が予定されていますが、それでも“緊急事態”であることには変わらず、首都圏における深刻な感染拡大状況を受けての国・各自治体からの強い方針(メッセージ)となります。
こうした状況を鑑み、緊急事態宣言期間中の首都圏における実際に集まっての校友会・稲門会活動は是非ともお控えくださいますようお願いいたします。とりわけ新年会などの飲食を伴う活動については中止・延期としていただければと存じます。
ただし、インターネット機能(オンライン)や書面等の対面以外による活動については推奨いたします。
なお、緊急事態宣言の対象である首都圏(1都3県)を除く地域の活動方針(2021年1月~3月まで)につきましては、田中総長と萬代代表幹事との連名でお知らせしました10月13日付の通知から変更はございません。
また、首都圏(1都3県)についても、緊急事態宣言が解除された後は同様といたします。
https://waseda.box.com/s/4pb9q6ehkiyq7vexs9hgib4tnxz91y3a
校友会・稲門会活動には多くのご高齢の方もご参加いただいていることを踏まえ、早稲田大学校友会といたしましては、校友の皆様の命と健康を第一とし、刻一刻と変化する感染状況を注視しながら、慎重に対応していくことに変わりはありません。その上で、本年については、感染に充分注意しながら各種活動を工夫して実施できるようになればと考えております。
最後となりますが、萬代校友会代表幹事から校友の皆様へ、年頭のご挨拶がございますので、こちらも送らせていただきます。
https://waseda.box.com/s/bdqhitvneb2zpki2ydqno145o76dpz9f
本年も早稲田大学ならびに早稲田大学校友会への温かいご支援とご協力のほど、宜しくお願い申し上げます。
校友の皆様にとって明るい一年になることを願っております。